低酸素刺激による肺動脈圧上昇に対する赤血球内抗酸化酵素の影響
赤血球の抗酸化機構が正常肺の低酸素性肺血管攣縮反応 (HPV) の強度維持に関与するか否かを一定の流量 (70ml/min) で灌流した家兎摘出肺 (n=72) を用いて検討した. 吸入気を対照ガス (21%O2) から低酸素ガス (3%O2) に切り換えた場合の平均肺動脈圧の上昇 (ΔP) をもってHPVの指標とした. 赤血球のスーパーオキサイド・ジスムターゼ (SOD), 赤血球膜陰イオン・チャンネル, 赤血球のカタラーゼ (CAT), グルタチオン・ペルオキシダーゼを薬物にて阻害・不活性化した. 正常赤血球, 各処理赤血球を灌流液に加えΔPを測定した. 更にSODあるいはCATを直接灌流...
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Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 31; no. 6; pp. 700 - 706 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本呼吸器学会
25.06.1993
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Subjects | |
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ISSN | 0301-1542 1883-471X |
DOI | 10.11389/jjrs1963.31.700 |
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Summary: | 赤血球の抗酸化機構が正常肺の低酸素性肺血管攣縮反応 (HPV) の強度維持に関与するか否かを一定の流量 (70ml/min) で灌流した家兎摘出肺 (n=72) を用いて検討した. 吸入気を対照ガス (21%O2) から低酸素ガス (3%O2) に切り換えた場合の平均肺動脈圧の上昇 (ΔP) をもってHPVの指標とした. 赤血球のスーパーオキサイド・ジスムターゼ (SOD), 赤血球膜陰イオン・チャンネル, 赤血球のカタラーゼ (CAT), グルタチオン・ペルオキシダーゼを薬物にて阻害・不活性化した. 正常赤血球, 各処理赤血球を灌流液に加えΔPを測定した. 更にSODあるいはCATを直接灌流液に添加した前後でΔPを測定し以下の所見を得た. 1) 赤血球のスーパーオキサイド消去機構を阻害してもΔPは有意に変化しなかった. 2) 赤血球の過酸化水素消去機構の阻害もΔPに有意な影響を及ぼさなかった. 3) 灌流液にSOD, CATを添加してもΔPは有意に変化しなかった. 以上より正常肺におけるHPVは肺全体の抗酸化能力規定因子として重要な赤血球の抗酸化酵素活性とは無関係に発生することが判明した. |
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ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
DOI: | 10.11389/jjrs1963.31.700 |