臍腸管遺残に起因した成人のイレウスの1例

症例は25歳の女性で, 腹痛を主訴に来院した. 鎮痙剤投与にて症状の改善がみられたためいったん帰宅したが, その後に再度症状が出現し, 増悪傾向がみられたため翌朝に再度受診となった. 観察入院としたが, 同日夕方から腹痛が増強し, 腹膜刺激症状の出現がみられ, 腹部CTにて小腸の著明な拡張, また血液生化学検査では著明な骨髄抑制を認めた. イレウスの進行とそれに伴う全身状態の悪化と考え, 緊急開腹手術を施行した. 開腹所見としては, 臍部腹膜側から回盲部より約50cm口側の回腸につながる索状物が認められ, 臍腸管遺残症と考えた. この索状物を軸として小腸が回転し, 小腸ループによる内ヘルニアが...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 462 - 466
Main Authors 小出, 一真, 小野, 滋, 栗岡, 英明, 塩飽, 保博, 山下, 哲郎, 谷口, 史洋, 田中, 麻紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.462

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Summary:症例は25歳の女性で, 腹痛を主訴に来院した. 鎮痙剤投与にて症状の改善がみられたためいったん帰宅したが, その後に再度症状が出現し, 増悪傾向がみられたため翌朝に再度受診となった. 観察入院としたが, 同日夕方から腹痛が増強し, 腹膜刺激症状の出現がみられ, 腹部CTにて小腸の著明な拡張, また血液生化学検査では著明な骨髄抑制を認めた. イレウスの進行とそれに伴う全身状態の悪化と考え, 緊急開腹手術を施行した. 開腹所見としては, 臍部腹膜側から回盲部より約50cm口側の回腸につながる索状物が認められ, 臍腸管遺残症と考えた. この索状物を軸として小腸が回転し, 小腸ループによる内ヘルニアが発症し, イレウスを生じたものと思われた. 本邦での報告例は少ないが, 腹部手術既往がないイレウス症例では, 成人においても, 臍腸管遺残症を鑑別診断として考慮する必要があると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.462