Cisplatin+Etoposide が奏効し手術を施行した肺原発悪性線維性組織球腫の1例

症例は47歳女性, 検診にて胸部X線写真上右上葉に境界明瞭な腫瘤陰影が認められたため当院受診となった. 気管支鏡上右B3入口部は腫瘍によりほぼ閉塞しており, 生検にて未分化癌の病理所見を得た. 治療として cisplatin+etoposide を先行して2コース施行した後手術を施行した. 術後病理診断は悪性線維性組織球腫であり, 他に原発巣を認めないため肺原発と考えた. 悪性線維性組織球腫は手術が第一選択であり肺原発でも例外ではないが, 遠隔転移や局所再発を起こしやすく予後不良のため化学療法などと組み合わせた集学的治療が望まれている. また, cisplatin+etoposide は in...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 33; no. 9; pp. 993 - 998
Main Authors 森川, 哲行, 武内, 浩一郎, 古家, 仁, 木村, 緑, 福村, 基之, 角田, 幸雄, 田代, 征夫, 小西, 敏雄, 林, 康史
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.09.1995
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は47歳女性, 検診にて胸部X線写真上右上葉に境界明瞭な腫瘤陰影が認められたため当院受診となった. 気管支鏡上右B3入口部は腫瘍によりほぼ閉塞しており, 生検にて未分化癌の病理所見を得た. 治療として cisplatin+etoposide を先行して2コース施行した後手術を施行した. 術後病理診断は悪性線維性組織球腫であり, 他に原発巣を認めないため肺原発と考えた. 悪性線維性組織球腫は手術が第一選択であり肺原発でも例外ではないが, 遠隔転移や局所再発を起こしやすく予後不良のため化学療法などと組み合わせた集学的治療が望まれている. また, cisplatin+etoposide は in vivo において相乗効果が認められており, 重篤な副作用もなくさまざまな固形癌の標準的化学療法として広く用いられている. 今回一例のみの経験ではあるが, 今後肺原発悪性線維性組織球腫に cisplatin+etoposide は試みる価値のある化学療法と考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.33.993