急速に増大した腹腔内転移性悪性線維性組織球腫の1例
悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma; 以下, MFH) は四肢の軟部組織や後腹膜腔に好発する予後不良な疾患である. 今回, 転移臓器として膵臓が疑われ, 急速増大した巨大な転移性腹腔内MFHの1例を経験したので報告する. 症例は45歳の男性で, 2年前に左臀部MFHを, 半年前に胸膜転移を切除後, 腹部腫瘤を指摘され紹介となる. 腹部CTでは20×14cmの内部に壊死性変化を伴う低濃度領域の腫瘍を胃体部と膵体尾部間に認めた. 腫瘍は膵体部からくちばし型に移行し胃を大きく圧拝していた. 食道胃内視鏡検査では胃体部を中心に壁外性の圧排を認めていた....
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 6; pp. 711 - 716 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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Summary: | 悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma; 以下, MFH) は四肢の軟部組織や後腹膜腔に好発する予後不良な疾患である. 今回, 転移臓器として膵臓が疑われ, 急速増大した巨大な転移性腹腔内MFHの1例を経験したので報告する. 症例は45歳の男性で, 2年前に左臀部MFHを, 半年前に胸膜転移を切除後, 腹部腫瘤を指摘され紹介となる. 腹部CTでは20×14cmの内部に壊死性変化を伴う低濃度領域の腫瘍を胃体部と膵体尾部間に認めた. 腫瘍は膵体部からくちばし型に移行し胃を大きく圧拝していた. 食道胃内視鏡検査では胃体部を中心に壁外性の圧排を認めていた. MFHの膵転移を疑い開腹術を施行した. 腫瘍は胃と膵体尾部間に20cm大に存在, 胃全摘, 膵体尾部切除を施行した. 病理組織学的検査所見では出血性でcysticに変性壊死した腫瘍で, 膵組織, 胃壁ともに浸潤を認めたが腫瘍径が大きく再発臓器の断定は困難であった. 多型の強い紡錘状細胞がstriform patternで増殖, 転移性MFHの診断であった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.41.711 |