集学的治療が奏効した多発転移を来した回腸癌の1例
症例は64歳の男性で, 主訴は腹痛. 腸閉塞症状で発症し, 下部消化管内視鏡で回腸末端に周堤を伴った2型の腫瘍を認め, 生検で腺癌であった. CTで肝右葉に80×60mm大の境界明瞭な類円形の腫瘍を認めた. また, 大動脈周囲に少数のリンパ節腫大を認めた. 原発性回腸癌および肝, リンパ節転移と診断し, 回盲部切除, 肝右葉切除術を施行した. 回腸癌は病理組織学的に中分化型腺癌, 深達度seであった. 肝腫瘍は単発性で転移性腺癌であった. 術後に化学療法を施行し, 大動脈周囲リンパ節は縮小した. その後に肺と脊椎転移を認めたが, 肺転移は化学療法で消失し, 脊椎転移は放射線療法で寛解が得られた...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 353 - 358 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2005
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.38.353 |
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Summary: | 症例は64歳の男性で, 主訴は腹痛. 腸閉塞症状で発症し, 下部消化管内視鏡で回腸末端に周堤を伴った2型の腫瘍を認め, 生検で腺癌であった. CTで肝右葉に80×60mm大の境界明瞭な類円形の腫瘍を認めた. また, 大動脈周囲に少数のリンパ節腫大を認めた. 原発性回腸癌および肝, リンパ節転移と診断し, 回盲部切除, 肝右葉切除術を施行した. 回腸癌は病理組織学的に中分化型腺癌, 深達度seであった. 肝腫瘍は単発性で転移性腺癌であった. 術後に化学療法を施行し, 大動脈周囲リンパ節は縮小した. その後に肺と脊椎転移を認めたが, 肺転移は化学療法で消失し, 脊椎転移は放射線療法で寛解が得られた. 術後2年6か月の現在生存中である.原発性小腸癌は予後不良であるが, 外科的切除を中心とした集学的治療が有効な症例があり, 積極的な治療を試みる価値があると考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.38.353 |