特発性上腸間膜静脈・門脈血栓症に対しsecond-look operationを施行した1例

症例は49歳の男性で, 約10日間の軽度な腹痛後に急激な腹痛増強で発症した. 腹部CTで上腸間膜静脈 (以下, SMVと略記) から門脈 (以下, PVと略記) 内に至る血栓を認め緊急手術を施行した. 約200cmの壊死空腸を切除した後, 用手的に血栓を除去するもSMVおよびPVの血流は再開せず, また周囲の腸間膜にも広範囲に静脈血栓が存在した. 新たな壊死腸管出現の可能性から閉腹せずに手術を終了, 著明な血小板数減少のため線溶療法は施行せずにヘパリンによる抗凝固療法のみを施行, 約12時間後second-look operationで新たな壊死腸管のないことを確認し閉腹した. 6週後の造影C...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 492 - 497
Main Authors 牧野, 成人, 河内, 保之, 清水, 孝王, 西村, 淳, 新国, 恵也, 清水, 武昭, 畠山, 勝義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は49歳の男性で, 約10日間の軽度な腹痛後に急激な腹痛増強で発症した. 腹部CTで上腸間膜静脈 (以下, SMVと略記) から門脈 (以下, PVと略記) 内に至る血栓を認め緊急手術を施行した. 約200cmの壊死空腸を切除した後, 用手的に血栓を除去するもSMVおよびPVの血流は再開せず, また周囲の腸間膜にも広範囲に静脈血栓が存在した. 新たな壊死腸管出現の可能性から閉腹せずに手術を終了, 著明な血小板数減少のため線溶療法は施行せずにヘパリンによる抗凝固療法のみを施行, 約12時間後second-look operationで新たな壊死腸管のないことを確認し閉腹した. 6週後の造影CTでSMVおよびPV内の血栓は消失しており, 現在ワーファリン内服にて再発兆候なく外来通院中である. Second-look operationを施行することにより腸切除範囲を最小限にとどめることができた症例であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.492