間質性肺炎の血清マーカーKL-6値を追跡しえた夏型過敏性肺臓炎の1例

症例は44歳, 男性で, 1ヵ月前からの進行性の呼吸困難のために入院した. 胸部X線写真では両側中下肺野に小粒状影・網状影を認め, 低酸素血症を伴った. 気管支肺胞洗浄ではリンパ球比率の上昇とCD4/CD8比の低下を認め, Trichosporon cutaneum 間接蛍光抗体価が陽性であった. 経気管支肺生検では間質のリンパ球浸潤と肉芽腫形成を認め, 環境暴露試験も陽性であるところから本例は夏型過敏性肺臓炎と診断した. すでに抗原から隔離されているため無治療で自然経過観察したが, 胸部X線所見が遷延したので入院の4週間後からステロイド剤を使用し軽快した. 本例ではII型肺胞上皮細胞に発現す...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 34; no. 7; pp. 837 - 842
Main Authors 小林, 淳, 塚越, 正章, 萩原, 真一, 北村, 諭, 広田, 紀男, 斉藤, 建
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.07.1996
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Summary:症例は44歳, 男性で, 1ヵ月前からの進行性の呼吸困難のために入院した. 胸部X線写真では両側中下肺野に小粒状影・網状影を認め, 低酸素血症を伴った. 気管支肺胞洗浄ではリンパ球比率の上昇とCD4/CD8比の低下を認め, Trichosporon cutaneum 間接蛍光抗体価が陽性であった. 経気管支肺生検では間質のリンパ球浸潤と肉芽腫形成を認め, 環境暴露試験も陽性であるところから本例は夏型過敏性肺臓炎と診断した. すでに抗原から隔離されているため無治療で自然経過観察したが, 胸部X線所見が遷延したので入院の4週間後からステロイド剤を使用し軽快した. 本例ではII型肺胞上皮細胞に発現する糖蛋白であるKL-6を間質性肺炎の新しい血清 marker として注目し, その経時的変化を検討した. 血清KL-6値は入院後も約10日間上昇を続けたのちに低下傾向となった. 抗原暴露後においても約10日遅れて最大値となり, 以後は病態の沈静化とともに低値となった.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.34.837