加齢と冠危険因子が標準12誘導心電図へ及ぼす影響

本研究は加齢と冠危険因子が標準12誘導心電図パラメータに及ぼす影響を観察した。 対象は1990年4月より9月までに健診を受けた20歳より59歳までの男性8966人と女性1618のうち無作為抽出した男性1112人と女性716人を一般社員として検討した。また, 30歳より59歳までの男性7980人と女性1274人から高コレステロール血症, 糖尿病, 肥満, 高血圧症, 喫煙などの冠危険因子, 電解質異常および器質的疾患などを除外した男性1019人と女性81人をコントロール集団とした。 一般社員では加齢にともないPQ時間とQTcの延長, 前額面QRS軸の左軸偏位を男女ともに認めたが, 心拍数には加齢...

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Published in日本循環器管理研究協議会雑誌 Vol. 27; no. 2; pp. 94 - 99
Main Authors 鈴木, 振一郎, 吉田, 正徳, 八木, 洋, 細貝, 浩章, 浅井, 隆二, 田村, 静夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本循環器管理研究協議会 1992
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ISSN0914-7284
DOI10.11381/jjcdp1974.27.94

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Summary:本研究は加齢と冠危険因子が標準12誘導心電図パラメータに及ぼす影響を観察した。 対象は1990年4月より9月までに健診を受けた20歳より59歳までの男性8966人と女性1618のうち無作為抽出した男性1112人と女性716人を一般社員として検討した。また, 30歳より59歳までの男性7980人と女性1274人から高コレステロール血症, 糖尿病, 肥満, 高血圧症, 喫煙などの冠危険因子, 電解質異常および器質的疾患などを除外した男性1019人と女性81人をコントロール集団とした。 一般社員では加齢にともないPQ時間とQTcの延長, 前額面QRS軸の左軸偏位を男女ともに認めたが, 心拍数には加齢にともなう変化は男女とも認められなかった。さらに, ECGパラメータの性差は20歳代から50歳代の各年齢層で男性は女性に比し, PQ, QRS時間は延長し, QTcは短縮が認められた。 すなわち, 1989年に報告した30歳より59歳までの12528人を対象にした研究と同様な結果が得られた。コントロール集団では加齢にともなう変化として, QTcの延長が男性に認められたのみであった。コントロール集団における心電図パラメータの性差は女性が81人と少なく加齢との関連について検討することができなかったが, 全年齢の平均でみると男性は女性に比しPQおよびQRS時間の延長が認められ, QTcは有意に短縮していた。すなわち, 一般社員における各年齢層で検討した性差と同様な結果であった。 これらの結果は冠危険因子, 電解質異常, 器質的疾患が加齢にともなう心拍数, PQ時間, QRS時間, QTcや前額面QRS軸などの電気生理学的特性の変化を決定する要因となりうるものと推測された。
ISSN:0914-7284
DOI:10.11381/jjcdp1974.27.94