大腸癌術後に異時性の肝転移と副腎転移を切除した1例

症例は60歳の男性で, 大腸癌の右副腎転移の診断にて平成14年11月に副腎腫瘍摘出術を施行した. 副腎転移は, 平成14年8月の腹部CTにて診断された. 原発巣は, 平成10年8月に切除されており, 深達度mpのstageIであった. その2年後にS7領域の肝転移があり平成12年10月に肝右葉切除術をした. 副腎切除後の経過は良好であったが, 平成16年3月に総胆管背側に再発が出現した. 副腎転移切除後2年11か月目の平成17年10月に消化管への出血により死亡した. 病理組織学的検査では, 大腸癌は分化癌と粘液癌が同量で, 他の3か所の転移巣は粘液癌であった. CEAは, 大腸癌切除前と総胆管...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 478 - 484
Main Authors 羽入, 隆晃, 植木, 匡, 若桑, 隆二, 石塚, 大, 多々, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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Summary:症例は60歳の男性で, 大腸癌の右副腎転移の診断にて平成14年11月に副腎腫瘍摘出術を施行した. 副腎転移は, 平成14年8月の腹部CTにて診断された. 原発巣は, 平成10年8月に切除されており, 深達度mpのstageIであった. その2年後にS7領域の肝転移があり平成12年10月に肝右葉切除術をした. 副腎切除後の経過は良好であったが, 平成16年3月に総胆管背側に再発が出現した. 副腎転移切除後2年11か月目の平成17年10月に消化管への出血により死亡した. 病理組織学的検査では, 大腸癌は分化癌と粘液癌が同量で, 他の3か所の転移巣は粘液癌であった. CEAは, 大腸癌切除前と総胆管背側の再発時に上昇し, 肝臓と副腎転移切除前には正常値内であった. 大腸癌の副腎転移切除例の報告は, 著者らが調べた範囲内では自験例を含め29例であり, 肝切除も施行されていた症例は7例であったので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.478