異なった発症様式を示した胸壁原発悪性リンパ腫の3例

胸壁発生悪性リンパ腫 (Non-Hodgkin lymphoma, NHL) の発症は, 従来結核性膿胸との関係が指摘されてきた. 我々は, 発症機序が異なると思われた胸壁発生NHLの3症例を経験したので報告する. 症例1: 59歳男性. 28歳右肺結核, その後結核性膿胸を併発. 右胸壁腫瘤を認め生検にてNHLと診断された. 症例2: 65歳女性, 2歳時右結核性膿胸の既往. 左胸壁腫瘤を認め生検にてNHLと診断された. 症例3: 78歳男性, 左結核性胸膜炎1年後, 左胸壁腫瘤を認め生検にてNHLと診断された. また, 組織中EBウイルスについて検討した結果, 症例1と2で陽性を示した....

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 311 - 316
Main Authors 斉藤, 紀子, 小山, 信一郎, 細川, 直登, 武井, 正美, 森本, 幸治, 橋本, 修, 沢田, 海彦, 堀江, 孝至
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.03.1997
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Summary:胸壁発生悪性リンパ腫 (Non-Hodgkin lymphoma, NHL) の発症は, 従来結核性膿胸との関係が指摘されてきた. 我々は, 発症機序が異なると思われた胸壁発生NHLの3症例を経験したので報告する. 症例1: 59歳男性. 28歳右肺結核, その後結核性膿胸を併発. 右胸壁腫瘤を認め生検にてNHLと診断された. 症例2: 65歳女性, 2歳時右結核性膿胸の既往. 左胸壁腫瘤を認め生検にてNHLと診断された. 症例3: 78歳男性, 左結核性胸膜炎1年後, 左胸壁腫瘤を認め生検にてNHLと診断された. また, 組織中EBウイルスについて検討した結果, 症例1と2で陽性を示した. 従来, 胸壁発生NHLと数十年前に発症した慢性結核性膿胸との困果関係が指摘されており, 自験例でも1例は典型例であったが, 他の2症例においては従来の発症様式とは異なっていた. さらに, 胸壁発生NHLの発症にEBウイルスが強く関与している可能性があることが示唆された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.35.311