腎不全における血液と髄液の相関性 透析不均衡症候群および脳死

透析不均衡症侯群(DDS)の成因の追求と腎不全における血液脳関門(BBB)の特性を調べる為に, 透析患者の血液(B)と髄液(C)の分析を行った。血液透析(HD)中のC-BUNの低下はB-BUNに遅れBUNの濃度差を生じ, BとCの浸透圧のずれの原因となった。B-pHはHD後上昇したが, C-pHはほぼ一定でBとCのpHのずれが大きくなった。BとCの浸透圧とpHのずれはそれぞれDDSの成因の一つであると考えられた。HD中B-KとB-Pは大巾に低下しB-Caは上昇傾向を示したが, C-K, C-Ca, C-Pは狭い範囲に保たれた。脳出血で腹膜灌流を打ち切った症例においてもC-K, C-Ca, C-...

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Published in人工臓器 Vol. 16; no. 2; pp. 851 - 855
Main Authors 稲垣, 豊, 青木, 真一郎, 天野, 泉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.04.1987
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.16.851

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Summary:透析不均衡症侯群(DDS)の成因の追求と腎不全における血液脳関門(BBB)の特性を調べる為に, 透析患者の血液(B)と髄液(C)の分析を行った。血液透析(HD)中のC-BUNの低下はB-BUNに遅れBUNの濃度差を生じ, BとCの浸透圧のずれの原因となった。B-pHはHD後上昇したが, C-pHはほぼ一定でBとCのpHのずれが大きくなった。BとCの浸透圧とpHのずれはそれぞれDDSの成因の一つであると考えられた。HD中B-KとB-Pは大巾に低下しB-Caは上昇傾向を示したが, C-K, C-Ca, C-Pは狭い範囲に保たれた。脳出血で腹膜灌流を打ち切った症例においてもC-K, C-Ca, C-Pの変動は少なく, その恒常性は脳死判定後更に2日間ほど持続した。BUNはBBBを通過し易いが, CrはBBBを通過し難く, 又, 抜け難い傾向が認められた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.16.851