4群リンパ節転移陽性下行結腸sm癌の1例

4群リンパ節転移を伴う下行結腸sm癌の1例を経験した. 症例は55歳の男性で, スクリーニング目的の下部消化管内視鏡検査にて下行結腸に径10mmのIs型ポリープを認めたため内視鏡的摘除術を施行した. 切除標本は深達度sm1であったが, 水平断端が陽性の可能性があったため, 追加切除の適応と考え根治手術を施行した. 術中所見で1群から大動脈周囲リンパ節までの広範な転移を迅速組織診断にて確認したため, 治癒切除は不可能と考え下行結腸部分切除術 (1群リンパ節郭清) を施行した. 病理組織学的診断では内視鏡的摘除術を施行した部位に癌の遺残はなかった. 術後14病日より5FU, アイソボリンによる化学...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 2; pp. 256 - 261
Main Authors 角南, 栄二, 鈴木, 聡, 三科, 武, 神林, 智寿子, 大滝, 雅博, 中島, 真人, 松原, 要一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2005
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Summary:4群リンパ節転移を伴う下行結腸sm癌の1例を経験した. 症例は55歳の男性で, スクリーニング目的の下部消化管内視鏡検査にて下行結腸に径10mmのIs型ポリープを認めたため内視鏡的摘除術を施行した. 切除標本は深達度sm1であったが, 水平断端が陽性の可能性があったため, 追加切除の適応と考え根治手術を施行した. 術中所見で1群から大動脈周囲リンパ節までの広範な転移を迅速組織診断にて確認したため, 治癒切除は不可能と考え下行結腸部分切除術 (1群リンパ節郭清) を施行した. 病理組織学的診断では内視鏡的摘除術を施行した部位に癌の遺残はなかった. 術後14病日より5FU, アイソボリンによる化学療法を開始し, 計4クール施行後の腹部CTでは, 大動脈周囲リンパ節転移が消失し著効した. 大腸sm癌の中でも本例のように深達度sm1での4群リンパ節転移陽性例は極めてまれであり, 若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.38.256