アミラーゼとCA19-9を同時に産生した肺胞上皮癌の1剖検例

症例は68歳男性. 糖尿病と痛風があり, 急激な体重減少で受診. LDHとアミラーゼ (amy) の高値から腹部腫瘍を疑った. 次第に呼吸困難となり, 胸部X線でびまん性粒状影が見られ入院となる. 入院時貧血と白血球増多, ALP, LDHの上昇, 唾液型amyの高値, 腫瘍マーカーでCEA, CA19-9の高値を認めた. 胸部X線で両肺野にびまん性粒状網状像を認め, 胸部CTで不整形の融合性小結節影を認め, 転移性肺癌や肺胞上皮癌を疑った. CTガイド下の経皮肺穿刺で乳頭状発育を示す腺癌と診断された. 次第に呼吸困難が生じ, 肺癌の増悪, 心不全の増悪, DICなどを併発し全経過5ヵ月で死亡...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 426 - 431
Main Authors 野々垣, 常正, 森下, 宗彦, 小栗, 隆, 青木, 重久, 清水, 直子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.04.1997
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.35.426

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Summary:症例は68歳男性. 糖尿病と痛風があり, 急激な体重減少で受診. LDHとアミラーゼ (amy) の高値から腹部腫瘍を疑った. 次第に呼吸困難となり, 胸部X線でびまん性粒状影が見られ入院となる. 入院時貧血と白血球増多, ALP, LDHの上昇, 唾液型amyの高値, 腫瘍マーカーでCEA, CA19-9の高値を認めた. 胸部X線で両肺野にびまん性粒状網状像を認め, 胸部CTで不整形の融合性小結節影を認め, 転移性肺癌や肺胞上皮癌を疑った. CTガイド下の経皮肺穿刺で乳頭状発育を示す腺癌と診断された. 次第に呼吸困難が生じ, 肺癌の増悪, 心不全の増悪, DICなどを併発し全経過5ヵ月で死亡した. 剖検所見は, 肺の著しい膨脹, びまん性に腫瘍が見られ粘液を認めた. 組織学的には既存の肺胞壁に沿って癌が進展し, PAS陽性, 免疫染色でCA19-9, CEAおよびamyが陽性でAFPが陰性の癌で, 唾液由来のamyを産生する肺胞上皮癌であった. 高amy血症をきたす場合, アミラーゼ産生肺癌を疑う必要があると考える.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.35.426