下血により発症した小腸腸間膜血管腫の1例

症例は68歳の女性で, 大量下血を主訴に当院内科に入院した. 腹部は平坦軟であった. 胃および大腸内視鏡検査を施行したが出血部位を認めなかった. 小腸造影X線検査では回腸末端部の圧排所見のみを認めた. 下腹部CTでは骨盤腔内に径8cm大の腫瘤を認め, 血管造影では上腸間膜動脈の末梢に著明に圧排伸展された血管像とpoolingを認めた. また, 出血シンチグラフィー (99mTc-HSA) では右骨盤腔内に異常集積像を認めた. 以上より, 小腸腸間膜腫瘍の診断で手術を施行した. 回腸末端部から80cm口側の小腸間膜に手拳大の腫瘍を認め, 腫瘍を含めて小腸部分切除を行った. 病理組織学的に小腸腸間...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 386 - 390
Main Authors 船越, 康信, 山口, 時雄, 清家, 洋二, 中島, 信一, 小川, 法次, 木村, 聡宏, 吉田, 康彦, 後藤, 正宣, 安田, 大成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2000
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Summary:症例は68歳の女性で, 大量下血を主訴に当院内科に入院した. 腹部は平坦軟であった. 胃および大腸内視鏡検査を施行したが出血部位を認めなかった. 小腸造影X線検査では回腸末端部の圧排所見のみを認めた. 下腹部CTでは骨盤腔内に径8cm大の腫瘤を認め, 血管造影では上腸間膜動脈の末梢に著明に圧排伸展された血管像とpoolingを認めた. また, 出血シンチグラフィー (99mTc-HSA) では右骨盤腔内に異常集積像を認めた. 以上より, 小腸腸間膜腫瘍の診断で手術を施行した. 回腸末端部から80cm口側の小腸間膜に手拳大の腫瘍を認め, 腫瘍を含めて小腸部分切除を行った. 病理組織学的に小腸腸間膜血管腫と診断された. 小腸腸間膜血管腫の本邦報告例は自験例を含め16例のみしかなく極めてまれな腫瘍である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.33.386