肝内多発転移を有する肝原発カルチノイドに対する肝切除とラジオ波焼灼併用療法の1例

症例は55歳の男性で, 平成13年2月心窩部痛が出現し近医を受診. 腹部超音波検査, CTで肝外側区域を中心とした多発肝腫瘤を認めた. 生検で悪性腫瘍が疑われたため, 3月当科へ紹介された. CT, MRI, 血管造影検査では肝外側区域に約10cmの淡く濃染される腫瘍を認め, 内側区域と右葉にも腫瘍が散在していた. 肝内転移を伴う胆管細胞癌を疑い肝左葉切除および右葉の転移巣に対する部分切除とラジオ波焼灼 (以下, RFA) 術を施行した. 病理組織学的には索状, リボン状に配列する腫瘍細胞からなり, SynaptophysinとNSEにびまん性に陽性でChromograninAとGrimeli...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 2; pp. 200 - 205
Main Authors 中村, 登, 菰方, 輝夫, 濱田, 信男, 岩下, 龍史, 九玉, 輝明, 福倉, 良彦, 北島, 信一, 坂田, 隆造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2008
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Summary:症例は55歳の男性で, 平成13年2月心窩部痛が出現し近医を受診. 腹部超音波検査, CTで肝外側区域を中心とした多発肝腫瘤を認めた. 生検で悪性腫瘍が疑われたため, 3月当科へ紹介された. CT, MRI, 血管造影検査では肝外側区域に約10cmの淡く濃染される腫瘍を認め, 内側区域と右葉にも腫瘍が散在していた. 肝内転移を伴う胆管細胞癌を疑い肝左葉切除および右葉の転移巣に対する部分切除とラジオ波焼灼 (以下, RFA) 術を施行した. 病理組織学的には索状, リボン状に配列する腫瘍細胞からなり, SynaptophysinとNSEにびまん性に陽性でChromograninAとGrimeliusはfocalに陽性なカルチノイドと診断された. 術前後に消化管を含めた全身検索を行っているが, 肝外病変を確認できなかった. 6年経過したが, 肝外病変を認めず肝原発カルチノイドと考えられた. RFA部を含め, 現在, 無再発生存中である. 肝原発カルチノイドはまれであり, 文献的考察を加えて報告した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.41.200