冠状動脈バイパス術におけるGore-tex心膜シートの安全性の検討 術後縦隔炎合併の危険因子となるか
1992年1月から1997年6月までに施行したCABG 434例を対象としてGore-tex心膜シートの術後前縦隔炎に対する安全性を検討した。心膜シート使用例は329例で非使用例は105例であった。両群を比較すると心膜シート使用例は有意に両側内胸動脈使用が多く、手術時間、人工心肺時間も長かった。しかし、前縦隔炎の発生は心膜シート使用例7例(2.1%)、非使用例3例(2.9%)と有意の差はなかった。前縦隔炎の起炎菌はMRSA 4例(使用例3例、非使用例1例)などで両群に差はなかった。前縦隔炎の治療は創部郭清し、心膜シートを除去した。術中所見では心膜シート使用例1例のみに心膜腔への感染の波及が認め...
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Published in | 人工臓器 Vol. 27; no. 1; pp. 257 - 261 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
15.02.1998
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ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.27.257 |
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Summary: | 1992年1月から1997年6月までに施行したCABG 434例を対象としてGore-tex心膜シートの術後前縦隔炎に対する安全性を検討した。心膜シート使用例は329例で非使用例は105例であった。両群を比較すると心膜シート使用例は有意に両側内胸動脈使用が多く、手術時間、人工心肺時間も長かった。しかし、前縦隔炎の発生は心膜シート使用例7例(2.1%)、非使用例3例(2.9%)と有意の差はなかった。前縦隔炎の起炎菌はMRSA 4例(使用例3例、非使用例1例)などで両群に差はなかった。前縦隔炎の治療は創部郭清し、心膜シートを除去した。術中所見では心膜シート使用例1例のみに心膜腔への感染の波及が認められたが、両群に著しい差異は認められなかった。両群とも死亡例はなく、再手術から退院までの期間は前縦隔炎以外の重篤な合併症を有した2例の除くと使用例平均55.2日、非使用例46.3日と差はなかった。以上の結果よりGore-tex心膜シートの使用は術後前縦隔炎の危険因子となっていないと思われた。 |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.27.257 |