フルコナゾールが奏効した肺アスペルギルス症“semi-invasive type”の1例
症例は53歳男性で, 胃癌手術後1990年に Mycobacterium avium complex 症にて約1年間抗結核剤を投与され治癒したが, 1994年8月20日頃より発熱, 咳嗽および胸痛が出現し, 胸部CT上, 右上葉に空洞を有する浸潤影を認めた. 血清アスペルギルス沈降抗体は陽性を示し, 喀痰より Aspergillus fumigatus が同定されたため肺アスペルギルス症と診断し, fluconazole (FLCZ) 400mg/日を点滴静注し, 発熱および炎症反応は改善, 喀痰中の菌も消失し, 胸部CT上も浸潤影の消失を認めた. 本症例は, 右上肺野に非定型抗酸菌症を発病し...
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Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 35; no. 6; pp. 645 - 649 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本呼吸器学会
25.06.1997
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Subjects | |
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ISSN | 0301-1542 1883-471X |
DOI | 10.11389/jjrs1963.35.645 |
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Summary: | 症例は53歳男性で, 胃癌手術後1990年に Mycobacterium avium complex 症にて約1年間抗結核剤を投与され治癒したが, 1994年8月20日頃より発熱, 咳嗽および胸痛が出現し, 胸部CT上, 右上葉に空洞を有する浸潤影を認めた. 血清アスペルギルス沈降抗体は陽性を示し, 喀痰より Aspergillus fumigatus が同定されたため肺アスペルギルス症と診断し, fluconazole (FLCZ) 400mg/日を点滴静注し, 発熱および炎症反応は改善, 喀痰中の菌も消失し, 胸部CT上も浸潤影の消失を認めた. 本症例は, 右上肺野に非定型抗酸菌症を発病し画像上完全に空洞を残さないで治癒した後に発症し, 同部位に亜急性に進行した症例である. 臨床および画像診断上, Gefter らが提唱した semi-invasive aspergillosis の範疇に入ると考えられるが, semi-invasive type で fluconazole が奏効した症例がこれまで少ないため報告した. |
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ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
DOI: | 10.11389/jjrs1963.35.645 |