橈骨頭前方脱臼を伴った上腕骨外顆離断性骨軟骨炎の 2 例

「はじめに」上腕骨外顆離断性骨軟骨炎(OCD)に橈骨頭脱臼を伴う例があることは過去に報告があるものの, 稀な状況であると考えられる. OCDに橈骨頭前方脱臼をきたし, 観血的治療を要した2症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例 症例1. 13才男性 9才時より野球を始めた. 12才の頃より右肘痛が出現し, 近医受診, 3ケ月間の右肘の安静加療, 野球中止の指導を受けた. 疼痛軽快したため野球を再開したところ肘痛が増悪し, 再度野球中止の指導を受けたが, 今回は保存療法に反応しなかった. 肘関節痛の他に可動域制限, ロッキングなどの症状を見るようになったために当科紹介され受診した....

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 54; no. 3; pp. 605 - 608
Main Authors 加藤, 悌二, 國武, 克彦, 菊川, 憲志, 瀬形, 建喜, 平野, 真子, 原田, 正孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2005
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Summary:「はじめに」上腕骨外顆離断性骨軟骨炎(OCD)に橈骨頭脱臼を伴う例があることは過去に報告があるものの, 稀な状況であると考えられる. OCDに橈骨頭前方脱臼をきたし, 観血的治療を要した2症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例 症例1. 13才男性 9才時より野球を始めた. 12才の頃より右肘痛が出現し, 近医受診, 3ケ月間の右肘の安静加療, 野球中止の指導を受けた. 疼痛軽快したため野球を再開したところ肘痛が増悪し, 再度野球中止の指導を受けたが, 今回は保存療法に反応しなかった. 肘関節痛の他に可動域制限, ロッキングなどの症状を見るようになったために当科紹介され受診した. 受診時に上腕骨小頭部のOCD, 遊離体, 橈骨頭前方脱臼, 橈骨頭肥大を認めた(図1a). 疼痛はOCDの部位と, 橈骨頭周囲に見られた. 遊離体が存在していた為, 遊離体除去と吉津法に準じた上腕骨外顆楔状骨切り術を計画した. 疼痛の軽快と, 脱臼した橈骨頭の良好な整復が得られたが, 橈骨頭周囲の疼痛は軽快せずスポーツ復帰はできなかった. そこで, 肥大した橈骨頭が整復されたため, 腕橈関節の圧が高まり疼痛が生じたものと判断し, 橈骨の短縮骨切り術を施行した(図1b).
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.54.605