イギリス金融サービス市場法にみる顧客本位原則の下での事業運営 金融規制の質的向上へ向けた取組み
規制遵守に関わるコストと消費者利益のバランスをいかに確保するかという課題は,効率的な監督規制を追求する上で避けて通ることができない。イギリスでは,金融サービス市場法が施行された後,法令遵守に伴うコスト増加という問題に直面し,監督規制の質的向上を迫られた。改善策としては,短期的には販売・勧誘規制を緩和した金融商品が提供される一方で,長期的には,顧客本位原則の下での事業運営と呼ばれる取組みがスタートした。この取組みが従来の手法と相違する点は,ルール・ベース(詳細な規制)からプリンシプル・ベース(原則を重視した規制)へという監督手法の転換が図られる中,企業の自主性に根ざした仕組みが用いられていること...
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Published in | 保険学雑誌 Vol. 2007; no. 599; pp. 599_213 - 599_232 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本保険学会
31.12.2007
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Subjects | |
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Summary: | 規制遵守に関わるコストと消費者利益のバランスをいかに確保するかという課題は,効率的な監督規制を追求する上で避けて通ることができない。イギリスでは,金融サービス市場法が施行された後,法令遵守に伴うコスト増加という問題に直面し,監督規制の質的向上を迫られた。改善策としては,短期的には販売・勧誘規制を緩和した金融商品が提供される一方で,長期的には,顧客本位原則の下での事業運営と呼ばれる取組みがスタートした。この取組みが従来の手法と相違する点は,ルール・ベース(詳細な規制)からプリンシプル・ベース(原則を重視した規制)へという監督手法の転換が図られる中,企業の自主性に根ざした仕組みが用いられていることにある。この取組みはイギリスでも端緒についたばかりであるが,日本でも金融規制の質的向上が重要課題とされる中,有力な選択肢を示したものであり,注目すべき動向と考えられる。 |
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ISSN: | 0387-2939 2185-5064 |
DOI: | 10.5609/jsis.2007.599_213 |