高温ガス原子炉とその利用

原子力を発電のみならず, 非発電分野にも用いることができれば, エネルギー供給の面だけでなく地球環境保護の面においてもその寄与は大きい。高温ガス原子炉は, 1,000°C近い熱を供給できるとともに, 固有の安全性が極めて高いことで注目されている。 高温ガス原子炉からの熱をプロセス熱として利用することが考えられる分野としては, 重質油の回収, 石油精製, 石油化学, 石炭化学, 製鉄, 熱化学法等による水素製造, 酸化アルミニウム製造等極めて多岐にわたる。また, 高温の熱が得られるので熱電併給や高温から低温までの熱のカスケード利用も可能であり, 総合的な熱利用率として80%を達成することも可能で...

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Published in石油学会誌 Vol. 34; no. 6; pp. 486 - 499
Main Author 斎藤, 伸三
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.11.1991
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ISSN0582-4664
DOI10.1627/jpi1958.34.486

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Summary:原子力を発電のみならず, 非発電分野にも用いることができれば, エネルギー供給の面だけでなく地球環境保護の面においてもその寄与は大きい。高温ガス原子炉は, 1,000°C近い熱を供給できるとともに, 固有の安全性が極めて高いことで注目されている。 高温ガス原子炉からの熱をプロセス熱として利用することが考えられる分野としては, 重質油の回収, 石油精製, 石油化学, 石炭化学, 製鉄, 熱化学法等による水素製造, 酸化アルミニウム製造等極めて多岐にわたる。また, 高温の熱が得られるので熱電併給や高温から低温までの熱のカスケード利用も可能であり, 総合的な熱利用率として80%を達成することも可能である。 化学工業への核熱利用上の技術的課題としては, 対象とするプロセスにより異なるが, プロセス技術としては既に十分可能なものもあり, 原子炉への接続による運転上の制約, 法規制等が検討課題となる。経済性については, 現段階でも重質油の回収, 石油精製等はその成立性が見通せ, 2020年前後には広い分野にわたって経済性が成立するようになろう。
ISSN:0582-4664
DOI:10.1627/jpi1958.34.486