半乾燥地におけるマルチ工法が熱・水環境に与える影響 数値シミュレーションを用いた検討

マルチ工法の施工が土壌中の熱・水環境に与える影響を表現する数理モデルを作成した。このモデルは熱・水同時移動の基礎式をもとに土壌水分と地中温度を数値計算するもので, 乾燥条件下でのマルチ工法の効果のシミュレーションが可能である。本研究では, アフリカ・ジブチ共和国の気象データをもとにシミュレーションを行った。その結果, 以下のようなマルチ工法の実際の施工に有用な知見が得られた。(1) 施工地の土壌条件による土壌水分の二次元分布形の違いが得られ, マルチ工法の効果の違いについてのメカニズムが明らかにされた。(2) 地温上昇抑制を目的としてマルチ工法を行う場合, マルチング資材表面のアルベドを大きく...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 23; no. 1; pp. 4 - 19
Main Authors 鈴木, 雅一, 熊谷, 朝臣, 太田, 猛彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緑化工学会 30.09.1997
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ISSN0916-7439
0916-7439
DOI10.7211/jjsrt.23.4

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Summary:マルチ工法の施工が土壌中の熱・水環境に与える影響を表現する数理モデルを作成した。このモデルは熱・水同時移動の基礎式をもとに土壌水分と地中温度を数値計算するもので, 乾燥条件下でのマルチ工法の効果のシミュレーションが可能である。本研究では, アフリカ・ジブチ共和国の気象データをもとにシミュレーションを行った。その結果, 以下のようなマルチ工法の実際の施工に有用な知見が得られた。(1) 施工地の土壌条件による土壌水分の二次元分布形の違いが得られ, マルチ工法の効果の違いについてのメカニズムが明らかにされた。(2) 地温上昇抑制を目的としてマルチ工法を行う場合, マルチング資材表面のアルベドを大きくすることが最も容易で有効である。(3) 地温上昇抑制効果の高いマルチング資材を用いると, 温度勾配による水分移動の作用によって, 水分の節約に有効である。(4) 乾燥条件下では, 材質が疎なマルチング資材を使用した場合, 地表面からの蒸発量とマルチング資材を透過する水分量との差はない。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.23.4