人工膝関節形成術後の疼痛対策 Fescia Iliaca Compartment Block の有用性について

「はじめに」積極的な鎮痛は術後の四肢の運動機能を高め, リハビリテーションの効率を上げるとともに, 血栓塞栓症の合併をも減少させるとGrassら6)が述べているように, 術後の鎮痛は大変重要である. 従来, 下肢の術後鎮痛のために持続硬膜外ブロックが汎用されてきたが, 人工膝関節形成術(以下TKA)の術後の疼痛はしばしば高度であり, 持続硬膜外ブロック下でもその対処に難渋することが時折ある. また静脈血栓症予防のため抗凝固療法を行う頻度が高くなったことより, 持続硬膜外ブロックの使用そのものが困難となってきた. そのため術後鎮痛に対する新たな戦略の確立が必要である. TKAの術後鎮痛法としては...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 54; no. 3; pp. 471 - 474
Main Authors 城野, 修, 白石, 浩一, 麻生, 龍磨, 河野, 勤, 浜崎, 晶彦, 新井, 堅, 田縁, 竜一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2005
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.54.471

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Summary:「はじめに」積極的な鎮痛は術後の四肢の運動機能を高め, リハビリテーションの効率を上げるとともに, 血栓塞栓症の合併をも減少させるとGrassら6)が述べているように, 術後の鎮痛は大変重要である. 従来, 下肢の術後鎮痛のために持続硬膜外ブロックが汎用されてきたが, 人工膝関節形成術(以下TKA)の術後の疼痛はしばしば高度であり, 持続硬膜外ブロック下でもその対処に難渋することが時折ある. また静脈血栓症予防のため抗凝固療法を行う頻度が高くなったことより, 持続硬膜外ブロックの使用そのものが困難となってきた. そのため術後鎮痛に対する新たな戦略の確立が必要である. TKAの術後鎮痛法としては, いくつかの方法がある. しかし鎮痛薬(オピオイドなど)の全身投与は術直後の安静時痛には極めて有効であるが, 運動時痛には効果は不十分である. 硬膜外ブロックは有用であるが, 抗凝固療法との併用には注意が必要である. 3-in-1ブロックに代表される腰神経叢ブロックは安静時痛にも運動時痛にも有用である. 但し3-in-1ブロックは神経刺激装置が必要でありやや煩雑である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.54.471