A case of myotonic dystrophy who developed QT prolongation and torsade de pointes
57歳, 女性. 筋力低下, 針筋電図所見, 遺伝子検査(CTGリピート約330~450の増加)から筋緊張性ジストロフィ症タイプ Iと診断されている. 2010年某月, 転倒から頸髄損傷, 四肢不全麻痺をきたし入院した. 夜間せん妄に対し第15病日にペロスピロンの投与開始, 第29病日にブロナンセリンに変更となった. 第31病日に意識消失発作が出現しモニター心電図が装着された. 10時間後に2回目の意識消失発作が出現, その際にtorsade de pointes(TdP)が記録された. TdP停止後の12誘導心電図ではQTc560ms(入院時470ms)と延長していた. マグネシウムが投与さ...
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Published in | Shinzo Vol. 43; no. SUPPL.2; pp. S2_65 - S2_72 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Japan Heart Foundation
2011
公益財団法人 日本心臓財団 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.43.S2_65 |
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Summary: | 57歳, 女性. 筋力低下, 針筋電図所見, 遺伝子検査(CTGリピート約330~450の増加)から筋緊張性ジストロフィ症タイプ Iと診断されている. 2010年某月, 転倒から頸髄損傷, 四肢不全麻痺をきたし入院した. 夜間せん妄に対し第15病日にペロスピロンの投与開始, 第29病日にブロナンセリンに変更となった. 第31病日に意識消失発作が出現しモニター心電図が装着された. 10時間後に2回目の意識消失発作が出現, その際にtorsade de pointes(TdP)が記録された. TdP停止後の12誘導心電図ではQTc560ms(入院時470ms)と延長していた. マグネシウムが投与されブロナンセリンを中止した. その後, TdPは発生せず, QTcは第41病日には470msに復帰した. 心エコー所見, 冠動脈造影, 左室造影は正常であった. 電気生理学的検査では洞結節回復時間, 房室伝導に異常なくHV時間は48msであった. エピネフリン負荷試験ではLQT1およびLQT2が存在する可能性は低いと判断した. 本症例のTdP発症には薬剤投与による一時的なQT延長の要因が強いと判断し, 投薬に注意することとして経過観察の方針となった. 後に先天性QT延長症候群に関する遺伝子検査の結果が判明し, LQT1およびLQT2は陰性, LQT3遺伝子に新規のミスセンス変異(LQT3 exon 28 c. 5348C> A p.T1783N)が明らかとなった. 本症例のQT延長およびTdPの発症には, 薬剤投与, 原疾患である筋緊張性ジストロフィ症タイプ I, LQT3遺伝子における異常など複数の要因が考えられ, 筋緊張性ジストロフィ症タイプ Iの心臓性急死の原因を考えるうえで貴重な症例と考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.S2_65 |