軽度精神薄弱者の雇用に及ぼす「求職スキル」の影響について

社会生活能力の高い精神薄弱者は, 雇用へと結び付く可能性が高いと一般的に考えられる。しかし, 社会生活能力評価において, 高得点を獲得していながら雇用へと至らなかった者がいる。そこで雇用に結び付かなかった原因について検討した。 対象者は東京都心身障害福祉センターを利用した12名の軽度精神薄弱者で, 社会生活能力評価はHalpernらが開発した社会生活・職業準備テストバッテリーを使用した。 社会生活能力評価の総合得点正当率では, 雇用可能の範囲内であったのに, 下位項目の「求職スキル」では全員の者が平均正当率まで達することはできなかった。そのほかの項目でも平均正当率に満たないものがあり, 全体的...

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Published in職業リハビリテーション Vol. 10; pp. 33 - 38
Main Author 鈴木, 良子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本職業リハビリテーション学会 1997
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ISSN0915-0870
2186-1331
DOI10.11328/jsvr1987.10.33

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Summary:社会生活能力の高い精神薄弱者は, 雇用へと結び付く可能性が高いと一般的に考えられる。しかし, 社会生活能力評価において, 高得点を獲得していながら雇用へと至らなかった者がいる。そこで雇用に結び付かなかった原因について検討した。 対象者は東京都心身障害福祉センターを利用した12名の軽度精神薄弱者で, 社会生活能力評価はHalpernらが開発した社会生活・職業準備テストバッテリーを使用した。 社会生活能力評価の総合得点正当率では, 雇用可能の範囲内であったのに, 下位項目の「求職スキル」では全員の者が平均正当率まで達することはできなかった。そのほかの項目でも平均正当率に満たないものがあり, 全体的にバラツキが見られた。 社会生活能力評価の総合得点で高い正当率を獲得していても, 下位項目の「求職スキル」が未熟な者は適応状態で問題行動が出現しやすく, 職業人としての素質が一般雇用のレベルに達しない。今後は精神薄弱者の一般雇用を考える場合, このレベルの救済が必須となる。
ISSN:0915-0870
2186-1331
DOI:10.11328/jsvr1987.10.33