クローン病による膀胱腸瘻の2例

Crohn病に起因する膀胱腸瘻は比較的まれなものであり, またその特徴的症状がないためその診断も困難なことが多い. 今回本症を2例経験した. 症例1:43才男性, Crohn病の既往があり, 主訴は糞尿, 気尿であつた. X線学的検査では異常を認めず, 膀胱鏡検査にて瘻孔を確認した. 瘻孔切除術を施行,回腸膀胱瘻を認めた. 病理組織学的にはCrohnと診断された. 術後経過は良好で症状は消失した. 症例2:18才男性, 主訴は発熱, 下腹部痛であつた. 右下腹部に圧痛を認め, CT scanで腹直筋直下に手挙大の腫瘍を認めた. 膀胱鏡検査にて頂部に腫瘍の突出を認め, 尿膜管腫瘍を疑い腫瘍別出術...

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Published in医療 Vol. 40; no. 10; pp. 921 - 924
Main Authors 比嘉, 傳, 外間, 孝雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.10.1986
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.40.921

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Summary:Crohn病に起因する膀胱腸瘻は比較的まれなものであり, またその特徴的症状がないためその診断も困難なことが多い. 今回本症を2例経験した. 症例1:43才男性, Crohn病の既往があり, 主訴は糞尿, 気尿であつた. X線学的検査では異常を認めず, 膀胱鏡検査にて瘻孔を確認した. 瘻孔切除術を施行,回腸膀胱瘻を認めた. 病理組織学的にはCrohnと診断された. 術後経過は良好で症状は消失した. 症例2:18才男性, 主訴は発熱, 下腹部痛であつた. 右下腹部に圧痛を認め, CT scanで腹直筋直下に手挙大の腫瘍を認めた. 膀胱鏡検査にて頂部に腫瘍の突出を認め, 尿膜管腫瘍を疑い腫瘍別出術を施行, 上行結腸と膀胱の瘻を認めた. 病理組織学的にCrohn病と診断された. 術後症状は消失した. 本症例の術後経過は良好であるが, 今後とも十分な経過観察が必要と思われた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.40.921