胃上部がんの予後と治療法

胃がん検診で発見された胃上部がん (以下C領域癌と略す) の治療法や予後を調査し, 今後の改善策を検討した。平成4年度から8年度の集検発見胃癌のうち, 占居部位が確認できた642例 (A: 242, M: 269, C: 130, E: 1) を対象に, 治療法や予後を調査した。C領域癌は, A領域やM領域と比較して進行癌で発見される割合 (49%) が高いため, 進行程度や根治度は芳ばしくなく, 5年生存率 (89.0%) も最低であったが, 他の領域との有意差は認められなかった。また, C領域癌の治療法は91例に確認できたが, 胃全摘術が88%, 噴門側胃切が6%, EMRが3%などと,...

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Published in消化器集団検診 Vol. 36; no. 4; pp. 439 - 444
Main Authors 今井, 貴子, 茂木, 文孝, 関口, 利和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器がん検診学会 15.07.1998
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ISSN0287-6132
2186-7313
DOI10.11404/jsgcs1982.36.4_439

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Summary:胃がん検診で発見された胃上部がん (以下C領域癌と略す) の治療法や予後を調査し, 今後の改善策を検討した。平成4年度から8年度の集検発見胃癌のうち, 占居部位が確認できた642例 (A: 242, M: 269, C: 130, E: 1) を対象に, 治療法や予後を調査した。C領域癌は, A領域やM領域と比較して進行癌で発見される割合 (49%) が高いため, 進行程度や根治度は芳ばしくなく, 5年生存率 (89.0%) も最低であったが, 他の領域との有意差は認められなかった。また, C領域癌の治療法は91例に確認できたが, 胃全摘術が88%, 噴門側胃切が6%, EMRが3%などと, ほとんどが胃全摘術をされており, 治療法が画一的すぎる結果であった。今後は, 他の領域に劣らぬようにC領域の示現能の改善に努めるべきである一方, C領域早期癌では噴門側胃切や腹腔鏡下手術などQOLの高い治療法が選択されても良いのではないかと考えられた。
ISSN:0287-6132
2186-7313
DOI:10.11404/jsgcs1982.36.4_439