小腸間膜原発paraganglioma の1例
症例は77歳の女性で, 平成16年1月, 腎盂腎炎・腎盂尿管移行部狭窄症にて当院泌尿器科入院中, CTで腹腔内腫瘤を指摘され当科紹介となった. 入院時軽度の貧血を認め, 下腹部正中に手拳大の腫瘤を触知した. 腹部CTで下腹部正中に5.6cm大の境界明瞭な腫瘤影を認め, 内部は不均一に濃染されていた. MRIでは腫瘤の内部はT1強調像で筋肉と等信号, T2強調像では不均一な高信号を示し, 辺縁には栄養血管である上腸間膜動脈の分枝を示すflow voidが複数認められた. 腸間膜腫瘍の診断で手術を施行したところ, 小腸間膜内に表面平滑で被膜を有する腫瘍を認め, 小腸部分切除を伴う腫瘍摘出術を施行し...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 1; pp. 84 - 89 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2006
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.39.84 |
Cover
Summary: | 症例は77歳の女性で, 平成16年1月, 腎盂腎炎・腎盂尿管移行部狭窄症にて当院泌尿器科入院中, CTで腹腔内腫瘤を指摘され当科紹介となった. 入院時軽度の貧血を認め, 下腹部正中に手拳大の腫瘤を触知した. 腹部CTで下腹部正中に5.6cm大の境界明瞭な腫瘤影を認め, 内部は不均一に濃染されていた. MRIでは腫瘤の内部はT1強調像で筋肉と等信号, T2強調像では不均一な高信号を示し, 辺縁には栄養血管である上腸間膜動脈の分枝を示すflow voidが複数認められた. 腸間膜腫瘍の診断で手術を施行したところ, 小腸間膜内に表面平滑で被膜を有する腫瘍を認め, 小腸部分切除を伴う腫瘍摘出術を施行した. 腫瘍径は7×5.5cm, 重量72gで弾性硬であった. 術中異常な血圧変動は認められなかった. 病理組織学的検査でparagangliomaと診断された. 小腸間膜原発paragangliomaは極めてまれな疾患であり文献的考察を加えて報告する. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.39.84 |