ホルター心電図による虚血性ST偏位検出のための至適誘導点の検討 多誘導ホルター心電図法を用いて

日常生活中に生ずる心筋虚血によるST下降の出現部位及びその拡がりを多誘導ホルター心電図を用いて検討した.対象は冠動脈造影にて有意狭窄が確認された狭心症患者40名で, 新たに生じた0.1mV以上の水平あるいは右下がりのST下降を虚血性ST偏位とし, 30の単極誘導心電図波形を6秒毎の時間分割にて時刻と体位情報とともに記録した.誘導部位は前胸部ならびに左側胸部の体表面電位図用の誘導を用いた.40例中25例 (62.5%) で, 大半が立座位の時に虚血性ST偏位が認められた.最も検出率が高い誘導点はV5の下方 (約9~10肋間) のH2で96%を示し, 従来から用いられているV5誘導 (H4) では...

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Published in心電図 Vol. 16; no. 2; pp. 163 - 173
Main Authors 安井, 直, 渡辺, 靖之, 森, 秀雄, 野場, 万司, 嶋地, 健, 加藤, 千雄, 可児, 篤, 近松, 均, 渡辺, 佳彦, 菱田, 仁, 後藤, 敏之, 岡島, 光治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.03.1996
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Summary:日常生活中に生ずる心筋虚血によるST下降の出現部位及びその拡がりを多誘導ホルター心電図を用いて検討した.対象は冠動脈造影にて有意狭窄が確認された狭心症患者40名で, 新たに生じた0.1mV以上の水平あるいは右下がりのST下降を虚血性ST偏位とし, 30の単極誘導心電図波形を6秒毎の時間分割にて時刻と体位情報とともに記録した.誘導部位は前胸部ならびに左側胸部の体表面電位図用の誘導を用いた.40例中25例 (62.5%) で, 大半が立座位の時に虚血性ST偏位が認められた.最も検出率が高い誘導点はV5の下方 (約9~10肋間) のH2で96%を示し, 従来から用いられているV5誘導 (H4) では60%であった.罹患枝の診断能の検討ではV5の約2肋間上方の誘導H5は前下行枝一枝病変に対して感度90%, 特異度100%であり, 有意な関連が認められた.他の一枝病変では有意な関連はなかった.ST下降を示した誘導点数に有意差はないものの, 前下行枝, 右冠動脈, 左回旋枝の順で少なくなった.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.16.163