保存的治療を行った急性虫垂炎の再発予測因子に関する検討
はじめに : 保存的治療で軽快・退院した急性虫垂炎症例のその後の再発の頻度,その予測に有用な因子を検討した.対象・方法 : 2002年8月から2006年6月までに急性虫垂炎の診断で入院加療した症例353例中,入院時にCTを施行し,保存的治療を行った135例について追跡調査を行い,再発の有無を検討した.再発例と非再発例で臨床所見,検査所見を比較した.結果 : 1)追跡可能であった症例101例中33例で腹痛が再燃した.このうち30例(29.7%)が医療機関を受診して急性虫垂炎再発と診断され,18例(17.8%)に手術が施行された.2)18歳以下および来院時白血球数13,500/μl以上の高値例は再...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 11; pp. 1347 - 1354 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.11.2011
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.44.1347 |
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Summary: | はじめに : 保存的治療で軽快・退院した急性虫垂炎症例のその後の再発の頻度,その予測に有用な因子を検討した.対象・方法 : 2002年8月から2006年6月までに急性虫垂炎の診断で入院加療した症例353例中,入院時にCTを施行し,保存的治療を行った135例について追跡調査を行い,再発の有無を検討した.再発例と非再発例で臨床所見,検査所見を比較した.結果 : 1)追跡可能であった症例101例中33例で腹痛が再燃した.このうち30例(29.7%)が医療機関を受診して急性虫垂炎再発と診断され,18例(17.8%)に手術が施行された.2)18歳以下および来院時白血球数13,500/μl以上の高値例は再発が多かった.3)初回入院時CT画像で腹水,虫垂周囲脂肪織の炎症波及を認めた症例および虫垂直径が9mm以上に腫大した症例は高率に再発した.糞石の有無による再発の頻度に差はなかった.考察 : 急性虫垂炎保存的治療症例の約30%が再発し,再発症例の60%が虫垂切除手術を受けていた.18歳以下の若年症例,来院時白血球高値症例およびCT画像上虫垂径9mm以上に腫大した症例や虫垂周囲脂肪織への炎症波及を認める症例では,急性虫垂炎保存的治療後の再発が高率であることを念頭において治療に臨むべきである. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.44.1347 |