術前に胆嚢管および胆嚢に合流する副肝管を診断した胆石症の2例

症例1は,62歳女性で,総胆管結石を内視鏡的に切石した後,胆嚢摘出術のため当科へ紹介された.術前画像で,胆嚢管へ合流する後区域肝管を検出し,これを温存して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.症例2は,63歳女性で,重症胆管炎の診断で入院し,内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブ造影検査で後区域肝管が漏斗部に合流する走向異常を認め,結石は三管合流部近くの胆嚢管に嵌頓していた.開腹による胆嚢摘出術,後区域肝管切除再建を施行した.胆嚢管や胆嚢に合流する副肝管の多くが南周りの後区域枝であり,南周りの後区域枝に注目することによって術前診断は可能と思われる.胆嚢管に合流するタイプでは適切な手技により腹腔鏡下胆嚢摘出術...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 11; pp. 1411 - 1418
Main Authors 倉田, 昌直, 本田, 五郎, 鶴田, 耕二, 奥田, 雄紀浩, 只野, 惣介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.11.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1411

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Summary:症例1は,62歳女性で,総胆管結石を内視鏡的に切石した後,胆嚢摘出術のため当科へ紹介された.術前画像で,胆嚢管へ合流する後区域肝管を検出し,これを温存して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.症例2は,63歳女性で,重症胆管炎の診断で入院し,内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブ造影検査で後区域肝管が漏斗部に合流する走向異常を認め,結石は三管合流部近くの胆嚢管に嵌頓していた.開腹による胆嚢摘出術,後区域肝管切除再建を施行した.胆嚢管や胆嚢に合流する副肝管の多くが南周りの後区域枝であり,南周りの後区域枝に注目することによって術前診断は可能と思われる.胆嚢管に合流するタイプでは適切な手技により腹腔鏡下胆嚢摘出術も可能であり,胆嚢本体(漏斗部~底部)へ合流するタイプでは胆嚢を摘出して肝管腸吻合を行うべきであると考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1411