長期生存が得られた胃癌異時性小脳転移の1例

症例は72歳の男性で, 平成14年8月, MU領域の3型胃癌に対し胃全摘術, 脾合併切除が行われた. 最終診断はMU type3, 98×90mm, tub1, T2 (SS) N0 H0 P0 CY0 M0 stage IB根治度Aであった. 平成15年4月上旬より,「喋りにくい」,「小さい文字が書きづらい」といった症状を自覚するようになり, 同年5月初旬に来院された. 頭部MRI上, 右小脳半球に約35mmのringed enhancementを伴う腫瘤が認められた. 単発であることから腫瘍摘出術が行われた. 病理組織像は高分化型腺癌であり, H.E.染色像, 免疫染色像ともに原発巣とよく...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 1; pp. 76 - 81
Main Authors 松原, 猛人, 吉澤, 康男, 笹屋, 昌示, 櫻庭, 一馬, 白畑, 敦, 後藤, 哲宏, 前沢, 浩司, 齋藤, 充生, 根本, 洋, 真田, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2008
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Summary:症例は72歳の男性で, 平成14年8月, MU領域の3型胃癌に対し胃全摘術, 脾合併切除が行われた. 最終診断はMU type3, 98×90mm, tub1, T2 (SS) N0 H0 P0 CY0 M0 stage IB根治度Aであった. 平成15年4月上旬より,「喋りにくい」,「小さい文字が書きづらい」といった症状を自覚するようになり, 同年5月初旬に来院された. 頭部MRI上, 右小脳半球に約35mmのringed enhancementを伴う腫瘤が認められた. 単発であることから腫瘍摘出術が行われた. 病理組織像は高分化型腺癌であり, H.E.染色像, 免疫染色像ともに原発巣とよく一致し胃癌異時性小脳転移と診断された. 術後はTS-1による補助化学療法が行われた. 平成19年2月現在, 再発なく生存中である. 胃癌脳転移はまれな疾患であり, その予後は不良である. 本症例は脳転移診断から3年9か月以上の長期にわたり, 再発なく生存中である極めてまれな症例である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.41.76