コリンエステラーゼ低活性を示した一症例の遺伝子解析

先天性甲状腺機能低下症と診断され, 血清コリンエステラーゼ活性が持続して異常低値を示した一症例の全ての翻訳領域について遺伝子解析を行った。その結果, コリンエステラーゼ遺伝子エクソン2のコドン90におけるGAA (Glu) からGGA (Gly) へのミスセンス変異のホモ接合体を同定した。また, 本邦および欧米に出現頻度の高いK変異と名付けられている遺伝子多型としてエクソン4のコドン539, GCA (Ala) からACA (Thr) への変換があるが, 本症例ではK変異はホモ接合体であった。抗ヒトコリンエステラーゼ抗体と反応する蛋白質量は, 極端に低値 (20%以下) で, 本症例ではChE...

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Published in臨床化学 Vol. 28; no. 4; pp. 182 - 187
Main Authors 高柳, 涼一, 中原, 睦子, 飯田, 廣子, 木下, 幸子, 濱崎, 直孝, 中田, 満喜子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床化学会 31.12.1999
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ISSN0370-5633
2187-4077
DOI10.14921/jscc1971b.28.4_182

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Summary:先天性甲状腺機能低下症と診断され, 血清コリンエステラーゼ活性が持続して異常低値を示した一症例の全ての翻訳領域について遺伝子解析を行った。その結果, コリンエステラーゼ遺伝子エクソン2のコドン90におけるGAA (Glu) からGGA (Gly) へのミスセンス変異のホモ接合体を同定した。また, 本邦および欧米に出現頻度の高いK変異と名付けられている遺伝子多型としてエクソン4のコドン539, GCA (Ala) からACA (Thr) への変換があるが, 本症例ではK変異はホモ接合体であった。抗ヒトコリンエステラーゼ抗体と反応する蛋白質量は, 極端に低値 (20%以下) で, 本症例ではChEの分泌機序に異常があるものと推測される。
ISSN:0370-5633
2187-4077
DOI:10.14921/jscc1971b.28.4_182