虫垂原発低分化腺癌の1例

虫垂原発の癌はまれで, 特に虫垂原発低分化型癌の報告例は少ない. 今回我々は虫垂腫瘍を疑い手術を施行し, 術後病理所見から低分化腺癌と診断した1症例を経験したので報告する. 症例は63歳の女性. 右下腹部に限局した疼痛を訴え当院を受診した. 腹部超音波検査で右側腹部に52×32mm大のhypoechoic massを認めた. 腹部造影CT検査では, 上行結腸外側に接する50×30×50mmの辺縁に造影効果を認める内部は不均一な低吸収域のcystic massがあり虫垂腫瘍の診断で, 結腸右半切除術 (D3) を施行した. 病理組織所見から虫垂原発低分化腺癌と診断した. 術後1年6か月でCA19...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 78 - 81
Main Authors 伊藤, 直史, 深田, 伸二, 白井, 量久, 向山, 博夫, 成田, 道彦, 山口, 竜三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.78

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Summary:虫垂原発の癌はまれで, 特に虫垂原発低分化型癌の報告例は少ない. 今回我々は虫垂腫瘍を疑い手術を施行し, 術後病理所見から低分化腺癌と診断した1症例を経験したので報告する. 症例は63歳の女性. 右下腹部に限局した疼痛を訴え当院を受診した. 腹部超音波検査で右側腹部に52×32mm大のhypoechoic massを認めた. 腹部造影CT検査では, 上行結腸外側に接する50×30×50mmの辺縁に造影効果を認める内部は不均一な低吸収域のcystic massがあり虫垂腫瘍の診断で, 結腸右半切除術 (D3) を施行した. 病理組織所見から虫垂原発低分化腺癌と診断した. 術後1年6か月でCA19-9が185U/mlと上昇したため精査したところ, 右卵巣転移を認め, 切除した. 初回手術後2年9か月経過した現在, 再発の徴候なく生存中である. 原発性虫垂癌は比較的まれな疾患であり, なかでも低分化腺癌は自験例を含め4例が報告されているのみであり, 極めてまれである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.78