口腔領域のVerrucous Carcinoma
Verrucous carcinomaは臨床的にも形態的にもまた, 細胞レベルにおいても扁平上皮癌の中の特殊なタイプの癌として, 定義されている。この腫瘍は, 臨床的, 病理組織学的に, 他の一般的な高分化型扁平上皮癌とは違った特徴を持つ悪性度の低い癌であり, それらとは区別されている。 Verrucous carcinomaとして最初に規定されて以来, この疾患に対する治療法やその再発率, anaplastic transformationの頻度などについては文献的にも多くの混乱が見られている。そこで, 今回はこの稀な腫瘍に対する治療法や疫学, 遺伝子変異などについて最近の知見を含め, 文献...
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Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 11; no. 2; pp. 43 - 54 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
15.06.1999
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-5988 1884-4995 |
DOI | 10.5843/jsot.11.43 |
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Summary: | Verrucous carcinomaは臨床的にも形態的にもまた, 細胞レベルにおいても扁平上皮癌の中の特殊なタイプの癌として, 定義されている。この腫瘍は, 臨床的, 病理組織学的に, 他の一般的な高分化型扁平上皮癌とは違った特徴を持つ悪性度の低い癌であり, それらとは区別されている。 Verrucous carcinomaとして最初に規定されて以来, この疾患に対する治療法やその再発率, anaplastic transformationの頻度などについては文献的にも多くの混乱が見られている。そこで, 今回はこの稀な腫瘍に対する治療法や疫学, 遺伝子変異などについて最近の知見を含め, 文献的考察を行なった。 特に治療法の選択においては, 病変の広がりや患者の全身状態を考慮に入れなければ, 外科療法が第一選択となることに変わりない。放射線療法は, 本腫瘍が中等度の放射線感受性があるにもかかわらず, anaplastic changeの可能性や局所制御率の低さから, 一般的には選択されない。しかし, 最近の文献では, 放射線治療に対する効果は, 一般的な高分化型扁平上皮癌とほぼ同様で, 生存率の改善が見られたという報告もあり, 外科療法非適応症例には, 治療選択肢の一つとなりうるものと考えられる。 |
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ISSN: | 0915-5988 1884-4995 |
DOI: | 10.5843/jsot.11.43 |