胆管腫瘍栓を伴った肝癌肉腫の1例
症例は67歳の男性で, 近医にて黄疸を指摘され当院紹介となった. 腹部造影CT上肝S5領域の帯状腫瘍陰影像と, 胆管腫瘍栓およびそれに伴う肝内胆管拡張を認めた. 経皮経肝胆管造影検査では胆管腫瘍栓は前区域枝から左肝管, 総肝管まで伸展していた. 胆管擦過細胞診では腺癌, 胆管腫瘍栓生検では肉腫の診断であり, 肝内胆管癌または肝肉腫の術前診断にて肝中央2区域切除・胆道再建・リンパ節郭清を施行した. 切除標本の病理組織学的検査所見では, 病変全体に高分化型腺癌と肉腫が混在し肉腫の一部には軟骨・類骨を認め肝癌肉腫と診断された. 術後16か月現在, 無再発生存中である. 肝癌肉腫は非常にまれな疾患であ...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 1; pp. 99 - 104 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.41.99 |
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Summary: | 症例は67歳の男性で, 近医にて黄疸を指摘され当院紹介となった. 腹部造影CT上肝S5領域の帯状腫瘍陰影像と, 胆管腫瘍栓およびそれに伴う肝内胆管拡張を認めた. 経皮経肝胆管造影検査では胆管腫瘍栓は前区域枝から左肝管, 総肝管まで伸展していた. 胆管擦過細胞診では腺癌, 胆管腫瘍栓生検では肉腫の診断であり, 肝内胆管癌または肝肉腫の術前診断にて肝中央2区域切除・胆道再建・リンパ節郭清を施行した. 切除標本の病理組織学的検査所見では, 病変全体に高分化型腺癌と肉腫が混在し肉腫の一部には軟骨・類骨を認め肝癌肉腫と診断された. 術後16か月現在, 無再発生存中である. 肝癌肉腫は非常にまれな疾患であり, 我々が検索しえたかぎりでは17例を認めるのみで, 胆管腫瘍栓を伴った症例は本症例が初めてであった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.41.99 |