落下胃石により回腸閉塞・穿孔を来した1例

症例は77歳の女性で, 2005年1月に嘔吐を主訴に当科を受診した.腹部X線検査にてニボーを認め, 腸閉塞の診断で入院し. 経鼻胃管にて腸閉塞の改善がなく, 第6病日にイレウス管を留置, 速やかに腸閉塞が改善した. 第10病日に腹痛, 腹膜刺激症状が出現した. 血液生化学検査では著明な炎症反応を認めた. イレウス管からの小腸造影でイレウス管先端部肛門側に透亮像を認め, 腹部CTにて遊離ガス像, 腹水, 小腸内の含気を伴う腫瘤像を認めた. 柿の摂取歴があり, 落下胃石による小腸嵌頓・穿孔による腹膜炎の術前診断にて開腹術を施行した. 回腸末端部から30cm口側に結石が嵌頓し, 腸間膜対側に穿孔を認...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 1; pp. 94 - 99
Main Authors 境, 雄大, 大澤, 忠治, 八木橋, 信夫, 原田, 治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.94

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Summary:症例は77歳の女性で, 2005年1月に嘔吐を主訴に当科を受診した.腹部X線検査にてニボーを認め, 腸閉塞の診断で入院し. 経鼻胃管にて腸閉塞の改善がなく, 第6病日にイレウス管を留置, 速やかに腸閉塞が改善した. 第10病日に腹痛, 腹膜刺激症状が出現した. 血液生化学検査では著明な炎症反応を認めた. イレウス管からの小腸造影でイレウス管先端部肛門側に透亮像を認め, 腹部CTにて遊離ガス像, 腹水, 小腸内の含気を伴う腫瘤像を認めた. 柿の摂取歴があり, 落下胃石による小腸嵌頓・穿孔による腹膜炎の術前診断にて開腹術を施行した. 回腸末端部から30cm口側に結石が嵌頓し, 腸間膜対側に穿孔を認めたため, 小腸切除術を行った. 結石は4.2×2.6×2.8cmで, 柿胃石と推測された. 術後経過は良好で術後19日目に軽快退院した. 嵌頓胃石による腸閉塞は比較的まれであるが, 穿孔することもあるため早期診断・治療が重要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.94