慢性肝疾患におけるHCV抗体測定の意義

慢性肝疾患患者533例のHCV抗体の有無を検索し次の結果を得た.HCV抗体は慢性肝炎の69.8%, 肝硬変の63.9%に陽性であり, 輸血歴のある例ではない例に比し陽性率は有意に高かった.肝細胞癌のHCV抗体陽性率は80.6%で, 輸血歴のある85.7%, ない例の76.4%に陽性であった.臨床的にアルコール性肝障害と診断された症例では18.1%にHCV抗体が陽性であったが, 組織学的に診断された10例のうちでは1例のみに陽性であった.原発性胆汁性肝硬変では11例中3例に陽性であったがそのうち2例は輸血歴を有していた.自己免疫性肝炎ではいつれもステロイド治療中であったがHCV抗体陽性例はなかっ...

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Published in北関東医学 Vol. 41; no. 4; pp. 641 - 646
Main Authors 長嶺, 竹明, 桜井, 誠司, 山田, 俊彦, 竹澤, 二郎, 湯浅, 圭一朗, 高橋, 仁公, 竹原, 健, 山田, 昇司, 齋藤, 修一, 阿部, 毅彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.07.1991
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ISSN0023-1908
1883-6135
DOI10.2974/kmj1951.41.641

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Summary:慢性肝疾患患者533例のHCV抗体の有無を検索し次の結果を得た.HCV抗体は慢性肝炎の69.8%, 肝硬変の63.9%に陽性であり, 輸血歴のある例ではない例に比し陽性率は有意に高かった.肝細胞癌のHCV抗体陽性率は80.6%で, 輸血歴のある85.7%, ない例の76.4%に陽性であった.臨床的にアルコール性肝障害と診断された症例では18.1%にHCV抗体が陽性であったが, 組織学的に診断された10例のうちでは1例のみに陽性であった.原発性胆汁性肝硬変では11例中3例に陽性であったがそのうち2例は輸血歴を有していた.自己免疫性肝炎ではいつれもステロイド治療中であったがHCV抗体陽性例はなかった.無症候性B型肝炎ウィルスキャリアーや脂肪肝では陽性例はなかった.以上の結果より慢性肝疾患のうち慢性肝炎, 肝硬変, 肝細胞癌においてHCV抗体陽性例が多く, ことに輸血歴を有する例の大多数でC型肝炎ウィルスの関与が想定された.
ISSN:0023-1908
1883-6135
DOI:10.2974/kmj1951.41.641