当科における癒着性中耳炎の治療 耳管粘膜誘導法について

「はじめに」 「癒着性中耳炎」には明らかな診断基準はないが, 鼓膜が鼓室底に癒着し, 鼓室の含気の一部あるいは全部が傷害された状態である. 近年中耳炎の軽症化が報告されているが, 鼓膜の癒着による伝音性難聴は治療することが出来ず, 進行すると感音性難聴を引き起こす例もみられ, また耳漏のコントロールに難渋することもしばしばである. しかしながら手術による治療も困難であり, 満足な成績が得られないため手術を回避するという意見もある. 当科では比較的積極的に癒着性中耳炎の手術を行ってきた立場から当科の術式における術後成績を示し検討した. 対象として耳管通気などの簡単な外来処置では改善しない癒着を認...

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Published inOtology Japan Vol. 16; no. 1; pp. 2 - 4
Main Author 古川, 昌幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳科学会 25.02.2006
日本耳科学会
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ISSN0917-2025
1884-1457
DOI10.11289/otoljpn1991.16.2

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Summary:「はじめに」 「癒着性中耳炎」には明らかな診断基準はないが, 鼓膜が鼓室底に癒着し, 鼓室の含気の一部あるいは全部が傷害された状態である. 近年中耳炎の軽症化が報告されているが, 鼓膜の癒着による伝音性難聴は治療することが出来ず, 進行すると感音性難聴を引き起こす例もみられ, また耳漏のコントロールに難渋することもしばしばである. しかしながら手術による治療も困難であり, 満足な成績が得られないため手術を回避するという意見もある. 当科では比較的積極的に癒着性中耳炎の手術を行ってきた立場から当科の術式における術後成績を示し検討した. 対象として耳管通気などの簡単な外来処置では改善しない癒着を認めるもので癒着型真珠腫を含めて検討を加えた. 「対象と術式」 当科では1995年1月より全中耳手術患者の手術記録と術前・術後の聴力経過および内視鏡による形態的変化をデータベース化して管理しているがそれを用いて検討したところ, 平成7年から平成16年までの10年間において, 当科で手術加療を行った癒着性中耳炎のうち, 6か月以上聴力経過を追えた症例は127耳でありうち非真珠腫症例は66耳, 癒着型真珠腫は61耳であった.
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn1991.16.2