歯齦被弁手術後の創傷治癒に関する実験病理組織学的研究 歯周ポケット内露出根面に対する処置が治癒過程に及ぼす影響について

露出根面に対する処置の違いが歯齦被弁手術後の創傷治癒過程に及ぼす影響を検索する目的で, まずラットの上顎第1臼歯に実験的歯周ポケットを作成した。次いでこの部に歯齦被弁手術を施し, 徹底的なルートプレーニングを行ったもの (第I群) と, ルートプレーニングを施さなかったもの (第II群) の両者の治癒過程を比較検討した。その結果, 第II群の根面表層には著しく電子密度の高い層が観察され, この層が存在する位置まで上皮の深部増殖が認められた。また, 第I群と比較して炎症の消退および歯齦粘膜固有層中のコラーゲン線維の再性が遅延していた。さらに, 歯根膜からのコラーゲン線維の伸展も抑制されていた。第...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 30; no. 3; pp. 748 - 775
Main Author 足立, 融
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 28.09.1988
日本歯周病学会
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Summary:露出根面に対する処置の違いが歯齦被弁手術後の創傷治癒過程に及ぼす影響を検索する目的で, まずラットの上顎第1臼歯に実験的歯周ポケットを作成した。次いでこの部に歯齦被弁手術を施し, 徹底的なルートプレーニングを行ったもの (第I群) と, ルートプレーニングを施さなかったもの (第II群) の両者の治癒過程を比較検討した。その結果, 第II群の根面表層には著しく電子密度の高い層が観察され, この層が存在する位置まで上皮の深部増殖が認められた。また, 第I群と比較して炎症の消退および歯齦粘膜固有層中のコラーゲン線維の再性が遅延していた。さらに, 歯根膜からのコラーゲン線維の伸展も抑制されていた。第II群の根面表層では, 広範囲にわたって著明な歯根吸収が性じていたが, 歯槽骨の再性には両群間で差異はなく, 白亜質の再性は第II群の方がノッチ部付近でやや早期に生じていた。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.30.748