アンジオテンシン変換酵素阻害薬 (イミダプリル) により出現した血管浮腫の早期発見における服薬指導の役割: 症例報告

「はじめに」アンジオテンシン変換酵素阻害薬(以下, ACE阻害薬と略す)は, WHO-ISH高血圧治療ガイドライン1999(1999 World Health Organization-Intemational Society of Hypertension Guidelines for the Management of Hypertension)において, 高血圧症治療の第一選択薬の一つとされ, 特に合併症として心不全, 左室機能障害, 心筋梗塞後, ならびに糖尿病性腎症を持つ患者に対しては, 積極的適応とされている. また, 本邦においてACE阻害薬は, カルシウム拮抗薬(以下, Ca拮...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in病院薬学 Vol. 26; no. 4; pp. 411 - 417
Main Authors 山下, 雅代, 三浦, 崇則, 勝見, 章男, 太田, 満, 斎竹, 達郎, 戸澤, 良夫, 水谷, 勝, 志賀, 幸夫, 鷹津, 文麿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 10.08.2000
日本病院薬学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」アンジオテンシン変換酵素阻害薬(以下, ACE阻害薬と略す)は, WHO-ISH高血圧治療ガイドライン1999(1999 World Health Organization-Intemational Society of Hypertension Guidelines for the Management of Hypertension)において, 高血圧症治療の第一選択薬の一つとされ, 特に合併症として心不全, 左室機能障害, 心筋梗塞後, ならびに糖尿病性腎症を持つ患者に対しては, 積極的適応とされている. また, 本邦においてACE阻害薬は, カルシウム拮抗薬(以下, Ca拮抗薬と略す)に次いで多く用いられている1, 2). これはACE阻害薬が緩徐な降圧作用を有し, 種々の臓器保護作用が証明されていること3-7)に加えて, 副作用も少ないため患者のQOL(Quality of Life)を妨げないことが理由の一つと考えられている. 一般的にACE阻害薬は, 他の降圧薬に比べ副作用も少なく使用しやすい薬物であるが, 副作用として血管浮腫が出現した場合には特に注意が必要である. なぜなら, ACE阻害薬による血管浮腫が咽頭部に生じたときには, 呼吸困難を生じ, そのために挿管や気管切開術などの緊急処置を要し, 時には死に至ることもあるためである. 今回当院において, イミダプリル(タナトリル(R))によると思われる血管浮腫を生じた1症例を経験したので報告する. 症例 1)患者:62歳, 女性2 2)主訴:下口唇腫脹, 手掌熱感 3)原疾患:高血圧, 異型狭心症 4)合併症:なし 5)既往歴:糖尿病(1999年健康診断により指摘, 現在無治療) 6)アレルギー歴:なし 7)薬物副作用歴:なし 8)使用薬物:イミダプリル錠(タナトリル(R))5mg/日
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.26.411