先天性サイトメガロウイルス感染症における難聴発症の危険因子
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症では,新生児期にスクリーニング検査で難聴が発見されるほかに,生後数年の間に遅発性の聴力低下を呈する例が知られている.筆者らの施設の小児神経科を受診した先天性 CMV 感染症13症例に ABR 検査を施行し,難聴の危険因子を検討した.これらの症例は,小頭症,てんかんや発達遅滞といった中枢神経系の症状を主訴に受診し,後方視的に先天性 CMV 感染症の診断が確定したものが含まれている.難聴は10例であり,難聴の発生時期は生後 1 年未満が少なくとも 5 例,遅発性は少なくとも 3 例であった.難聴発症の危険率が高かったのは,早期産,脳内石灰化および大脳皮質形...
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Published in | 小児耳鼻咽喉科 Vol. 30; no. 1; pp. 21 - 25 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児耳鼻咽喉科学会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 0919-5858 2186-5957 |
DOI | 10.11374/shonijibi.30.21 |
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Summary: | 先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症では,新生児期にスクリーニング検査で難聴が発見されるほかに,生後数年の間に遅発性の聴力低下を呈する例が知られている.筆者らの施設の小児神経科を受診した先天性 CMV 感染症13症例に ABR 検査を施行し,難聴の危険因子を検討した.これらの症例は,小頭症,てんかんや発達遅滞といった中枢神経系の症状を主訴に受診し,後方視的に先天性 CMV 感染症の診断が確定したものが含まれている.難聴は10例であり,難聴の発生時期は生後 1 年未満が少なくとも 5 例,遅発性は少なくとも 3 例であった.難聴発症の危険率が高かったのは,早期産,脳内石灰化および大脳皮質形成異常であった.発達遅滞を呈する先天性 CMV 感染症では,早期には聴力の異常には気付かれにくいことから,原疾患の積極的な検索とともに聴力のフォローが必要である. |
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ISSN: | 0919-5858 2186-5957 |
DOI: | 10.11374/shonijibi.30.21 |