体外循環中の温度と血行動態、術後臓器機能 目標直腸温32℃、30℃、28℃体外循環の比較

体外循環中の温度管理が血行動態・術後臓器機能及び出血量に及ぼす影響を検討した. 対象は成人待期的開心術症例25例で、目標最低直腸温32℃(Tepid)群8例、30℃(Mild)群9例、28℃(Moderate)群8例の3群に分け比較検討した. ポンプ流量は一定(2.5L/分/m2)であった. 術式、遮断時間、体外循環時間は3群間に差はなかった. Tepid群では体外循環中の酸素消費量がModerate群に比し高く、体血管抵抗上昇はMild群及びModerate群に比し軽産だった. その結果、Tepid群では復温時間が短縮され中枢―末梢温度較差が少なく、均一で迅速な復温を得た. 術後の臓器機能障...

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Published in人工臓器 Vol. 26; no. 1; pp. 7 - 10
Main Authors 瀧上, 剛, 椎谷, 紀彦, 村下, 十志文, 佐々木, 重幸, 松居, 喜郎, 安田, 慶秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.1997
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Summary:体外循環中の温度管理が血行動態・術後臓器機能及び出血量に及ぼす影響を検討した. 対象は成人待期的開心術症例25例で、目標最低直腸温32℃(Tepid)群8例、30℃(Mild)群9例、28℃(Moderate)群8例の3群に分け比較検討した. ポンプ流量は一定(2.5L/分/m2)であった. 術式、遮断時間、体外循環時間は3群間に差はなかった. Tepid群では体外循環中の酸素消費量がModerate群に比し高く、体血管抵抗上昇はMild群及びModerate群に比し軽産だった. その結果、Tepid群では復温時間が短縮され中枢―末梢温度較差が少なく、均一で迅速な復温を得た. 術後の臓器機能障害ではModerate群で血清Crが有意に上昇したが、その他の因子は3群間に有意差はなかった. 術後の凝固因子は3群間に有意差はなかったが、Tepid群では術直後の出血量を減少させることができた.
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.26.7