腹部の Intravenous Digital Subtraction Angiography 泌尿器科領域における本法の適応

各種尿路系疾患患者140例に対してIVDSAを行い, 泌尿器科領域における本法の適応について検討した. 撮影法は全例に臥位撮影, 80例に坐位影響, また20例に Pharmaco-DSAを行った. 臥位撮影のみでは画像不良な例が多くその適応は制限された. しかし, 坐位撮影や Pharmaco-DSAでは明瞭な腎動脈像だけでなく腎静脈像も得られる頻度が高く, 画像不良で診断に耐えない例はわずか7%であった. 本法による尿路系疾患の診断率は69%で, 疾患別には血管性病変98%, 外傷91%, 尿路奇形83%, 萎縮腎80%, 腫瘍性病変63%, 特発性腎出血46%であった. 臨床上鑑別すべき...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 11; pp. 1982 - 1991
Main Authors 中村, 健治, 安達, 高久, 江崎, 和芳, 船井, 勝七, 前川, たかし, 成山, 陸洋, 森, 勝志, 前川, 正信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 20.11.1987
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Summary:各種尿路系疾患患者140例に対してIVDSAを行い, 泌尿器科領域における本法の適応について検討した. 撮影法は全例に臥位撮影, 80例に坐位影響, また20例に Pharmaco-DSAを行った. 臥位撮影のみでは画像不良な例が多くその適応は制限された. しかし, 坐位撮影や Pharmaco-DSAでは明瞭な腎動脈像だけでなく腎静脈像も得られる頻度が高く, 画像不良で診断に耐えない例はわずか7%であった. 本法による尿路系疾患の診断率は69%で, 疾患別には血管性病変98%, 外傷91%, 尿路奇形83%, 萎縮腎80%, 腫瘍性病変63%, 特発性腎出血46%であった. 臨床上鑑別すべき最も重要な腎細胞癌の診断率は100%であった. 本法の絶対的適応は, 動脈瘤や腎血管性高血圧症などの血管性病変であったが, 腫瘍性病変や特発性腎出血例の screening 法としての有効性も高かった. 比較的適応は, 腫瘍性病変や特発性腎出血以外に軽症の腎外傷や尿路奇形, 萎縮腎の残胃機能診断などが挙げられた. しかし, 炎症性疾患や重症の外傷例は本法の適応外と考えられた. 以上の成績は坐位撮影や Pharmaco-IVDSAに基づいたものであるが, これらの方法を用いることによりIVDSAの尿路系疾患に対する適応は従来よりも拡大された.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.11_1982