特発性肺線維症とリウマチ肺の線維化の免疫組織学的鑑別とS-100陽性細胞出現の検討

共にUIP型間質性肺炎像を呈する特発性肺線維症 (IPF) とリウマチ肺の鑑別点につき免疫組織学的検討を行った. 開胸肺生検及び剖検で, UIP型の間質性肺炎の病理所見の得られたIPF 6例とリウマチ肺7例を対象とした. 免疫組織学的検索は, α-smooth muscle actin (α-SMA) とS-100蛋白の各抗体を主体に用いABC法にて行った. リウマチ肺における線維化巣は, 大部分 Vimentin, α-SMA共に陽性の筋線維芽細胞増生を認めた. 一方IPFでは Vimentin 陽性, α-SMA陰性の線維芽細胞増生を認め, 又明らかな平滑筋増生を一部に認めた. S-100...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 9 - 15
Main Authors 吉野内, 猛夫, 大朏, 祐治, 久保, 克仁, 福井, 順一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.01.1996
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.34.9

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Summary:共にUIP型間質性肺炎像を呈する特発性肺線維症 (IPF) とリウマチ肺の鑑別点につき免疫組織学的検討を行った. 開胸肺生検及び剖検で, UIP型の間質性肺炎の病理所見の得られたIPF 6例とリウマチ肺7例を対象とした. 免疫組織学的検索は, α-smooth muscle actin (α-SMA) とS-100蛋白の各抗体を主体に用いABC法にて行った. リウマチ肺における線維化巣は, 大部分 Vimentin, α-SMA共に陽性の筋線維芽細胞増生を認めた. 一方IPFでは Vimentin 陽性, α-SMA陰性の線維芽細胞増生を認め, 又明らかな平滑筋増生を一部に認めた. S-100蛋白陽性細胞出現は, リウマチ肺で全般に目立ち, 特にBOOPパターンを伴う急性増悪例において顕著であったが, IPF例ではいずれも見出し難く, 蜂窩肺部でも同様の結果を得た. 以上の結果から, IPFとリウマチ肺におけるUIP型間質性肺炎は, 筋線維芽細胞増生やS-100蛋白陽性細胞の存在により鑑別できる可能性が示唆された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.34.9