小児肝移植後晩期門脈狭窄症の診断と治療

小児生体肝移植において一般的に良好な成績が得られているが, 術後長期観察例が増加するとともに種々の晩期合併症が明らかとなってきている.特に晩期門脈狭窄症は, 比較的頻度の高い合併症であり, 診断, 治療時期が遅れた場合, グラフト肝不全となるだけでなく, 再移植が不可能となる可能性があるため, その早期対策は重要である.当科では, ドップラー超音波を中心とした外来での画像診断を定期的に行う診断方針により, 早期診断と早期治療を心がけている.また、低侵襲であり, 近年その有用性が報告されているInterventional radiology (IVR) によるバルーン拡張術を第一選択治療と位置づ...

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Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 11; no. 3; pp. 256 - 261
Main Authors 川野, 陽一, 齋藤, 武, 河原崎, 秀雄, 吉田, 慶之, 杉本, 英治, 水田, 耕一, 菱川, 修司, 眞田, 幸弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2005
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph1999.11.3_256

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Summary:小児生体肝移植において一般的に良好な成績が得られているが, 術後長期観察例が増加するとともに種々の晩期合併症が明らかとなってきている.特に晩期門脈狭窄症は, 比較的頻度の高い合併症であり, 診断, 治療時期が遅れた場合, グラフト肝不全となるだけでなく, 再移植が不可能となる可能性があるため, その早期対策は重要である.当科では, ドップラー超音波を中心とした外来での画像診断を定期的に行う診断方針により, 早期診断と早期治療を心がけている.また、低侵襲であり, 近年その有用性が報告されているInterventional radiology (IVR) によるバルーン拡張術を第一選択治療と位置づけており, 全例において開腹術を回避でき安全に施行することが可能であった.本論文では当科における晩期門脈狭窄に対する診断と治療手技, 更にCT検査による経時的な肝, 脾容積測定 (volumetry) の有用性, 抗凝固療法の工夫などについて述べた.小児肝移植後の晩期門脈狭窄症に対しては, 定期的検査による的確な早期診断, IVRなどによる適切な治療を行うことが重要である.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph1999.11.3_256