臍帯血凍結保存状態に関する保管検体による評価の有用性の検討

近年, 非血縁者間臍帯血移植の実施数は急速に増加しており1)~5), 日本国内でも1, 000例を越える移植が施行されている6). これに伴い, 臍帯血の品質管理と安全性の向上は重要な問題となっている. 日本さい帯血バンクネットワークでは, 臍帯血出庫前に保管検体による移植前検査を義務づけているが7), その結果が実際移植に使用される臍帯血本体の品質を反映しているか否かは明らかではない. そこで我々は, 保管検体と臍帯血本体の生細胞率およびコロニー形成細胞回収率を比較し, 移植前検査の有用性について検討したので報告する. 材料と方法 1 臍帯血および検査用検体の凍結保存と解凍方法 出産前に同意...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 4; pp. 620 - 625
Main Authors 伊藤, のぞみ, 佐藤, 典宏, 茂木, 祐子, 荒関, みき, 山本, 定光, 東, 寛, 池田, 久實, 宮崎, 保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.09.2004
日本輸血学会
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Summary:近年, 非血縁者間臍帯血移植の実施数は急速に増加しており1)~5), 日本国内でも1, 000例を越える移植が施行されている6). これに伴い, 臍帯血の品質管理と安全性の向上は重要な問題となっている. 日本さい帯血バンクネットワークでは, 臍帯血出庫前に保管検体による移植前検査を義務づけているが7), その結果が実際移植に使用される臍帯血本体の品質を反映しているか否かは明らかではない. そこで我々は, 保管検体と臍帯血本体の生細胞率およびコロニー形成細胞回収率を比較し, 移植前検査の有用性について検討したので報告する. 材料と方法 1 臍帯血および検査用検体の凍結保存と解凍方法 出産前に同意を得た妊婦から, 臍帯血を専用バッグ(ニプロパックC, ニプロ, 大阪)で採取した. 臍帯血バンクでは, 採取から24時間以内に細胞処理を開始すると規定されているが9), 今回の検討では種々の生細胞率を得るため, 採取から細胞処理までの放置時間に差をつけた(10~140時間).
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.50.620