肝細胞癌の肺転移巣切除の1例

我々は肝細胞癌切除後の肺転移を切除しえた1症例を経験した. 症例は56歳男性で, 肝硬変合併のない肝右葉に多発した肝細胞癌に対し拡大肝右葉切除術を施行した. 術後1年10ヵ月目に右肺下葉に転移巣を認め, 同部を切除した. 病理組織像では原発巣と同様にEdomondson II型の肝細胞癌であった. 術後は合併症なく経過良好で退院した. 1965年にThomfordが転移性肺腫瘍切除例の長期予後を報告して以来, 本邦にても積極的に切除が行われつつあるが, 肝細胞癌の肺転移巣に対する切除例の報告は少ない. 今後我々はこのような症例にたいしても, 積極的に切除を考慮したいと考えている....

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Published in医療 Vol. 45; no. 6; pp. 596 - 599
Main Authors 大坪, 光次, 馬場, 尚道, 藤井, 秀治, 古川, 正人, 宮崎, 国久, 永尾, 修二, 草野, 敏臣, 白浜, 敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.06.1991
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.596

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Summary:我々は肝細胞癌切除後の肺転移を切除しえた1症例を経験した. 症例は56歳男性で, 肝硬変合併のない肝右葉に多発した肝細胞癌に対し拡大肝右葉切除術を施行した. 術後1年10ヵ月目に右肺下葉に転移巣を認め, 同部を切除した. 病理組織像では原発巣と同様にEdomondson II型の肝細胞癌であった. 術後は合併症なく経過良好で退院した. 1965年にThomfordが転移性肺腫瘍切除例の長期予後を報告して以来, 本邦にても積極的に切除が行われつつあるが, 肝細胞癌の肺転移巣に対する切除例の報告は少ない. 今後我々はこのような症例にたいしても, 積極的に切除を考慮したいと考えている.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.596