歯周疾患罹患根面の根面処置法に関する研究 ヒト歯根膜由来線維芽細胞培養系による評価

歯周疾患罹患根面に対する根面処置法の有効性をヒト歯根膜由来線維芽細胞培養系を用いて評価した。その結果, 罹患根面の深部セメント質を保存したルートプレーニングとクエン酸処理を行った根面上の細胞増殖は, 非罹患根面上と同様の動態を示した。クエン酸処理を行った場合, 細胞接合性は向上した。また, エンドトキシン量はルートプレーニングで52%, クエン酸処理によりさらに清浄化され64%が除去された。細胞のアルカリホスファターゼ活性は, 培養経過とともに活性の低い罹患根面群およびルートプレーニング群と約2倍の高い活性を示す非罹患根面群およびクエン酸処理群との二極化を示した。以上より, 罹患根面深部セメン...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 36; no. 3; pp. 612 - 624
Main Authors 藤井, 健男, 小鷲, 悠典, 矢嶋, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 28.09.1994
日本歯周病学会
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Summary:歯周疾患罹患根面に対する根面処置法の有効性をヒト歯根膜由来線維芽細胞培養系を用いて評価した。その結果, 罹患根面の深部セメント質を保存したルートプレーニングとクエン酸処理を行った根面上の細胞増殖は, 非罹患根面上と同様の動態を示した。クエン酸処理を行った場合, 細胞接合性は向上した。また, エンドトキシン量はルートプレーニングで52%, クエン酸処理によりさらに清浄化され64%が除去された。細胞のアルカリホスファターゼ活性は, 培養経過とともに活性の低い罹患根面群およびルートプレーニング群と約2倍の高い活性を示す非罹患根面群およびクエン酸処理群との二極化を示した。以上より, 罹患根面深部セメント質保存のルートプレーニングは, エンドトキシンを物理的に除去して細胞を処置根面上で早期に付着・増殖させ, クエン酸処理は, 根面へ対する細胞接合性の向上とともに細胞分化を促進する有用性の高い処置であることが示唆された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.36.612