神経因性膀胱による両側水腎症により尿毒症を呈した糖尿病の1例

症例は45歳男性, 嘔気・下腿浮腫を主訴に入院した. 眼底はScott III a, 空腹時血糖180mg/dl, 血清尿素窒素(BUN)110mg/dl, クレアチニン濃度(CRTNN)12.1mg/dlであった. 尿毒症改善目的で緊急透析を施行した. しかし, 尿蛋白は0.2g/日で, 糖尿病性腎症としては典型的でないと考えられた. 腹部超音波検査にて著明な両側水腎症が認められ, また尿道カテーテル挿入により500ml以上の残尿が認められた. 膀胱内カテーテル留置により水腎症は改善し, 約3週間でBUN 40mg/dl, CRTNN 5.6mg/dlとなり, 透析から離脱できた. 腎生検で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 45; no. 6; pp. 578 - 581
Main Authors 仲村, 秀俊, 飯ケ谷, 知彦, 広瀬, 寛, 早川, 邦弘, 梅沢, 明弘, 大石, 明, 杉浦, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.06.1991
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.578

Cover

More Information
Summary:症例は45歳男性, 嘔気・下腿浮腫を主訴に入院した. 眼底はScott III a, 空腹時血糖180mg/dl, 血清尿素窒素(BUN)110mg/dl, クレアチニン濃度(CRTNN)12.1mg/dlであった. 尿毒症改善目的で緊急透析を施行した. しかし, 尿蛋白は0.2g/日で, 糖尿病性腎症としては典型的でないと考えられた. 腹部超音波検査にて著明な両側水腎症が認められ, また尿道カテーテル挿入により500ml以上の残尿が認められた. 膀胱内カテーテル留置により水腎症は改善し, 約3週間でBUN 40mg/dl, CRTNN 5.6mg/dlとなり, 透析から離脱できた. 腎生検では, 糸球体の変化は基底膜の肥厚のみだったが, 水腎症による間質の変化は, 萎縮と線維化を伴っていた. 糖尿病の三大合併症のうち腎症のみ軽微であった原因としては, (1)糖尿病の罹患期間が短い, (2)高血圧の家族歴がない, (3)生検にて腎動脈硬化がない, (4)高コレステロール血症がないなどが関与していた可能性が考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.578