歯科領域における超音波断層像の応用 歯肉形態の診査への応用の可能性について

Bモード表示の超音波診断装置 (松下技研社製) により, 歯肉の外形形態診査の可能性の検索を行った。そこで, 歯肉形態を客観的に把握するため, まず歯肉の厚径について検討を行った。その方法としてホルマリン固定の犬の顎骨標本を用い, 超音波断層像上において得られた数値と実際の顎骨標本の歯肉を針で刺して得られた測定値との比較を行ったところ, 両者はほぼ近似した値を示した。このことから, 歯肉形態診査に超音波断層像が利用できる可能性が示唆された。さらに臨床的検討を加えるため下顎前歯部歯肉にクレフトを示す患者に, クレフト部を中心に超音波断層像を写し出した°その結果, 歯肉の外形と歯, 歯槽骨の相対的...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 603 - 609
Main Authors 護邦, 忠弘, 楠瀬, 昌宏, 三瀬, 博司, 民上, 良徳, 今井, 久夫, 山岡, 昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 28.06.1987
日本歯周病学会
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Summary:Bモード表示の超音波診断装置 (松下技研社製) により, 歯肉の外形形態診査の可能性の検索を行った。そこで, 歯肉形態を客観的に把握するため, まず歯肉の厚径について検討を行った。その方法としてホルマリン固定の犬の顎骨標本を用い, 超音波断層像上において得られた数値と実際の顎骨標本の歯肉を針で刺して得られた測定値との比較を行ったところ, 両者はほぼ近似した値を示した。このことから, 歯肉形態診査に超音波断層像が利用できる可能性が示唆された。さらに臨床的検討を加えるため下顎前歯部歯肉にクレフトを示す患者に, クレフト部を中心に超音波断層像を写し出した°その結果, 歯肉の外形と歯, 歯槽骨の相対的な位置関係を視覚的にとらえることができ, Bモード法による超音波断層像が歯肉形態の診査の一助になり得る可能性がうかがわれた。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.29.603